入浴はぬるめの湯に入るようにし、出たらスマホやテレビなどを見ず、ゆっくりと過ごします。1時間ほどして少し体温が下がる頃に就寝するのがベストです。
まだ体が暑さに慣れていないこの時期の寒暖差では、脱水や熱中症にも要注意です。
肌寒い日の翌日に、同じような服装で外出して汗をかいている方を多く見かけます。特に冷えに弱い女性は普段から厚着をしがちなのですが、そのような方が急にやってくる真夏日に熱中症を発症してしまうのです。筆者の治療院にやってきた60代の女性もその1人です。
彼女は治療のためにベッドに横たわっていると、まもなく気分の悪さを訴え始めました。その日は35度を超える日でしたが、前日が寒かったせいでしょうか、半袖でも暑いくらいの気温にもかかわらず、長袖の上着を着ていらっしゃいました。
全身にジットリと汗をかいていたので、慌てて経口補水液を飲んでもらったところ、しばらくして回復されました。
この女性もそうでしたが、脱水や熱中症になっているときは意外と暑さを感じず、自覚症状がないまま倒れてしまうこともあります。特に高齢になってくると暑さを感じる感覚が鈍くなり、体に熱がこもっていることに気づかないまま症状が進んでしまうので、注意が必要です。
梅雨バテを吹き飛ばす「梅肉エキス」
肝の働きを助ける食材もあります。
なかでも適度な酸味を摂るとよく、寒暖差疲労の回復にピッタリな梅を使った民間薬を紹介したいと思います。
梅雨は文字通り、梅の実が旬を迎えます。この時期、筆者は梅仕事をするのが恒例の行事になっています。毎日、味見をしているおかげでしょうか、この時期はいつも以上に体調がいいように感じます。
梅には疲労回復、胃腸の働きをよくするなど、多くの薬効があるとされています。
梅干しや梅ジュースにもこうした薬効がありますが、その数十倍も効果があるともいわれる「梅肉エキス」をご存じでしょうか? 青梅の果汁を煮詰めた、コールタールのような真っ黒な見かけの、ものすごく酸っぱい梅のエキスです。
約1キロの梅から、30グラム程度しか作れません。筆者は子どもの頃に梅肉エキスとハチミツをあわせて水で薄めた飲み物をよく飲んだので、親しみがありますが、知らない方も多いようです。
梅肉エキスは、日本で開発された民間薬として、江戸時代の医師、衣関順庵(きぬどめじゅんあん)の『諸国古伝書秘方』に記載があり、「伝染病やかぜなどに、青梅をたくさん擦って、絞り汁を天日に干し、練り薬のようにする」と、当時の製法が記されています。細菌性の下痢や食中毒、下痢、便秘、消化不良などの治療薬としても用いられていたようです。
現在では、1999年に農林水産省食品総合研究所の研究員が、毛細血管の血流を改善する成分としてムメフラールを発表しました。ムメフラールは時間をかけてゆっくり梅を加熱し、濃縮していく過程で生成することがわかりました。
梅のクエン酸も、疲労回復にいい成分です。
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