病気かも?「医療情報を正しく」見極めるコツ 「あやしい情報」に検索で騙されないためには?
病気になった際の「情報収集」は、一筋縄ではいかない。インターネットやSNSの普及で「誤った情報」も氾濫し、いろいろ検索しては「不安」になる人も少なくない。
ネット時代、SNS時代において「何を」「どう」読めばいいのか、情報収集のコツを1冊にまとめた『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』を上梓したジャーナリストの佐々木俊尚氏は、じつは「潰瘍性大腸炎」という難病を罹患したひとりでもある。
国内に20万人もの患者がいながら「指定難病」のひとつである潰瘍性大腸炎は根治が難しく、再発を繰り返す。情報収集が仕事のジャーナリストの佐々木氏をもってしても「医療の最新情報は追いづらい」と語るほど、病を「正しく知る」のは難しい。
その佐々木氏と、潰瘍性大腸炎の専門医で同病の研究を専門とする土屋輝一郎・筑波大学教授による対談を通して、現代人が病気を「正しく知る」ヒントを探る。今回は、対談の前編を紹介する。
*この記事の後編:【国内患者20万以上】「潰瘍性大腸炎」治療の未来
患者さんに「正しい治療情報」が届きにくくなっている
佐々木:実は僕、病気は結構やっていて。新聞記者を辞めるきっかけになったのも病気なんです。1998年ですかね、入社して11年目ぐらいのときに、右耳が突然聞こえなくなって。
突発性難聴かなと思って病院に行ったのですが、MRIを撮ったら「佐々木さん、これは突発性難聴ではありません。聴神経にピンポン玉大の腫瘍ができています」と告げられました。
それで入院して、開頭手術をして。おかげで耳の神経がなくなってしまったので、片耳失調で、いまでも右耳はまったく聞こえないんです。
ただ、この経験から「何か不安なことがあったら、まず病院に行こう」って癖ができました。
「潰瘍性大腸炎」と診断されたのはこのときから数年後なんですが、当時はまだネットも盛んではなく、変に情報がなかったので「もう病院に行ってお医者さんの言うことに従おう」としかなりませんでした。
いま振り返ると、それがよかったのかもと思っています。いまならグーグルの検索窓を叩いて、「迷路」に入ってしまっていたかもしれません。
土屋:そうですね。「病名+症状」で検索する人は多いと思いますが、私から見ても出てくる情報はものすごく多く、その内容もさまざまですね。
「患者さんには、正しい治療のレールの上を歩いてもらいたい」といつも願っていますが、残念なことに、自分でいろいろ検索した結果、「合わない情報」を選んでしまい、道が外れてしまうケースはよくあります。