不安を横に置いておく
ーー入院していた期間には、死と隣り合わせの不安もあったんじゃないかと思います。そうした不安とはどう向き合っていたんでしょう?
永井:たしかに死は怖かったんですけど、「不安をいったん横に置いておく」ことをしたんです。
入院するちょっと前に出会った、コーチングをやっているある方が、「不安というものは消えないので、横においておくといいですよ」って、教えてくれたんです。その考え方を知って、すごく楽になって。
ーー不安を横においておく。
永井:不安なことって、考えないようにすると余計不安になるじゃないですか。死の恐怖に対して、「死にたくない」とか「乗り越えよう」とか考えると、余計に怖くなったりする。
でも、今すぐ死ぬわけじゃない。わるくなってもいないのに、「わるくなったらどうしよう」って考えてもしょうがないわけです。なので、不安があることを認めた上で、ただそこにあるものとして横に置いておく。そして、今できることに集中するんです。
たとえば、点滴をしているときは「効いてくれ!」って念を送るんですけど、治療してないときに「あの薬って効くのかなぁ」とか考えてもしょうがないので、あれこれ考えない。不安も、無理にとりのぞこうとしない。治療のときだけ治療に集中して、あとはぼーっとしてていいんです。
ーー病気になった方じゃなくても、離職・休職期にある方は、「自分はどうなってしまうんだろう」と不安になると思うんです。そういうときに、「不安を横に置いておく」という考え方は救いになるかもしれないですね。
永井:そうですね。「働かなきゃ」と思えば思うほどしんどいので、不安は横に置いておいて、今できる「履歴書を書く」ことに集中することですね。