興味が空白になった
永井:キャリアブレイクのよかったところもあるんですけど、よくなかったところもあって。そういう話もしていいですか?
ーーはい、ぜひお願いします。
永井:僕は小さい頃から映画が好きだったんです。学生のときも、レンタルビデオ店とか映画館でバイトして、毎日映画を観て。辛いことがあっても映画に救われてきた。
大人になって映画ライターの仕事をはじめたので、本当にたくさん映画を観てきたんですよ。寝ても覚めても映画を観れた。そのくらい映画が好きで。
でも、入院してた時期って、当然映画館に行けないんです。試写会にも行けないし。そうなってくると、興味に蓋をしないとやっていけないんです。お腹が空いてるときに、ご飯の映像を見せられたらつらいじゃないですか。あれと同じで、映画の予告映像とか、観たくなくなるんですよ。
でも、そうやって映画に興味を持たないようにしてるうちに、だんだんと本当に興味を持てなくなってきたんです。しかも厄介なのが、その蓋が、退院しても開かなかったことで。
ーー入院前と同じくらいの気持ちには戻れなかったと?
永井:はい。もちろん映画は好きですよ。でも、いまだに映画への気持ちが入院前に戻ることはないですね。もちろん一般の方と比べたらめちゃくちゃ観てますし、真剣に映画に向き合ってます。でも、かつての自分だったらもっと興味を持ってたなぁと。家族みたいな関係だったのが、友人になった、っていう感覚かな。
だから、ここ数年は興味が湧くのをひたすら待ってるって感じですね。そういう意味では、履歴書の空白っていうか、「興味の空白期間」ですね。