「仕事休むのが怖い」を40歳で脱した男に起きた事 なぜ私たちはワーカホリックをやめられないのか

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ーー最後に、キャリアブレイクの時期になにかおすすめの映画はありますか?

永井:なんかそういう時期って、頑張ってる人の姿をみると焦りますよね。たとえば『マイ・インターン』とか『プラダを着た悪魔』を観ると、頑張んなきゃいけない気がしちゃって(笑)

今は『めがね』とか『しあわせのパン』が好きですね。まさに、「きょうはなんにもないすばらしい一日だった」と思えるような映画な気がします。

あと、『わたしに会うまでの1600キロ』っていう映画がめちゃくちゃ良くて。最愛のお母さんの死や、自身の離婚がきっかけで自暴自棄になっていた女性が、「このままじゃダメだ」と1600kmを1人で踏破する旅に出る物語なんですけど。

あの映画って、旅を通して「自分を許していく」話なんですよ。それがまさにキャリアブレイクの期間と重なるなと。

ーーキャリアブレイクは「自分を許していく」期間だと?

永井:はい。離職や休職をしてる期間って、自分自身とたくさん対話をすると思うんです。休んでると、「なんでこんなふうになってしまったんだ」とか「俺はダメなやつだ」とかいった、自分を責める声も浮かんでくる。でも、責めるんじゃなくて自分を許してあげられたら、きっと楽になりますよね。

それまでは「ダメだ」と思っていたような自分自身を、許していくための期間。それが、キャリアブレイクなんだなって今では思うんです。

「なんにもないすばらしい一日」と思えるか

「きょうはなんにもないすばらしい一日だった」。そう思える日が、どれくらいあるだろう。僕も、昼までだらだらと布団の中で過ごしたり、夜までゲームばかりしてしまって、「あぁ、一日を無駄にした……」と凹むときがある。
なんにもない一日もすばらしいと思える心持ちと、履歴書になんにも書けない期間もすばらしいと思える心持ち。それらは、きっと地続きだ。
だらだら過ごしたとしても、あとで「いい一日だった」と振り返れるように、つらい離職・休職期間を過ごしたとしても、「なんにもないすばらしい期間だった」と振り返れる日がくることだってある。そんな希望を感じた取材だった。
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