EVシフトや自動運転、ソフトウェア、AI(人工知能)など先進技術の開発競争が激化する自動車業界。事業構造も大きく変化する中で、自動車メーカーだけでなく自動車部品メーカーも大きな影響を受けている。
その中で、リケンNPRはガソリンエンジンに使用されるピストンリングを主力とするリケンと日本ピストンリング(NPR)というライバル関係にあった同業の2社が経営統合して2023年10月に発足した。ガソリン車の市場縮小が避けられない中、経営統合した狙いはどこにあるのか。前川泰則会長兼CEOに聞いた。
工場長入れ替えで「気づき」促す
――経営統合から2年が経過しました。どのような手応えを感じていますか。
発表当時に私が申し上げたのは、お互いに共通するリソースを生かせる部分が多いので、一緒にやれるところは一緒にやって、生まれた余力を新しい領域に振り向けるということだ。
例えばピストンリングで言えば、リケンのメイン工場である新潟県の柏崎工場とNPRの岩手工場でそれぞれの工場長をスイッチした。工場長は一定の権限と責任があるので、生産現場で互いに発見した「やりたいこと」を、自分たちの工場で取り入れる動きが活性化している。
――ベストプラクティスの共有ということでしょうか。
そういうことだ。リケンはどちらかというとコンサバティブな会社で工場に顧客が来た際もありのままを見せるスタイルだった。一方でNPRは「魅せる工場」というマインドが非常に高い。
NPRのやり方を取り入れて工場のプレゼンテーションをドラスティックに変えたところ、顧客からも非常に好評だ。これは顧客だけでなく従業員にとってもインパクトがあって、「工場はただモノをつくるだけではなく、人に見てもらって感動してもらう場所だ」という理解にもつながる。
これはあくまで1つの事例だが、工場長同士でお互いのKPI(重要業績評価指標)は頭に入っているので気づきがたくさん出てきている。
――製品や地域のポートフォリオを互いに補完しあうことも期待できるのでは。
もちろんだ。製品は重なっているものもあるが、異なるものもあり、結果としてラインナップは拡充される。顧客にとってはワンストップショッピングが可能になる。今までだとA製品はリケン、B製品はNPRと別々で買う必要があったものがワンストップでできるようになるメリットがある。
地域で見れば、北米では、リケンがケンタッキー工場を閉鎖してメキシコに生産を移管した一方、NPRはメキシコに工場を持たず、ケンタッキーに工場を構えている。USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)が今年どう見直されるのか、関税がどうなるかによってどちらにでも動ける戦略的なオプションを持てるようになった。


















