選挙速報が開票率0%でも「当確」出せる納得の訳 メディアの出口調査はどう活用されているのか

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選挙速報の「当確」を出す計算とは(写真:/PIXTA)
衆議院選挙や参議院選挙などの国政選挙が実施されるたび、テレビ局は特番を組んで結果を放送します。投票締め切り時間前後に放送が始まりますが、開票率0%の状況で「当選確実」とされることが珍しくありません。投票結果がほとんどわからないのに、なぜ選挙速報で当選確実と言い切れるのでしょうか? 「0%」の開票率なのに「当確」といえる理由を『身の回りの数学』の著書で下関市立大学准教授の佐々木淳氏が解説します。

出口調査はどう活用されているのか

そもそも選挙の投票締め切りと同時に、「当選確実」とテレビなどで発信されることに「?」に思ったことはありませんか。実は、統計学を知るだけで、そのナゾがわかるんです。

まず、選挙速報では統計学の「区間推定」という理論と、「正規分布曲線」という左右対称の山型のグラフを使って当選者を予測します。難しく思われるかもしれませんが、簡単に言えば、一部の結果から全体の結果を予測する公式を用いて当選者を確定しているのです。

一部の結果から全体の結果を予測すると言っても、開票0%ではそもそも一部の結果もわからないですから、当選確実は出せないはずですよね。メディアは「出口調査」を行います。出口調査とは投票所外で、ランダムに投票した人に声をかけて投票先をヒアリングすることです。この調査結果をもとに、全体の投票結果を推定してニュース番組等で当選速報を打っているのです。

具体的に数字を見ながら解いてみるとわかりやすくなります。では以下の問題を見てみましょう。

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