選挙速報が開票率0%でも「当確」出せる納得の訳 メディアの出口調査はどう活用されているのか

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問 題

A候補とB候補の2人が出ている選挙区の投票所で、あるテレビ局が出口調査を行いました。このとき1000人から回答を得て、550人がA候補に投票したという結果が出ました(下図参照)。このテレビ局はA候補を当選確実と判断してよいでしょうか。

(図:『身の回りの数学』より)

A候補の得票率は、550÷1000×100=55(%)です。50%を超えているため当選の可能性が高いと考えられますが、これだけでは当選確実とはいえません。別の出口調査で、A候補に投票した人が500人となっていたり、過半数を下回る450人の可能性も考えられるからです。そのため、問題の答えは「ノー」です。

では、A候補の当選確実と打つためには何がわかればよいのでしょうか。出口調査の結果から、まずはA候補の得票率がどれくらいばらつく可能性があるのか考える必要があります。

ここで利用するのが、先ほどご紹介した「正規分布曲線」と呼ばれるグラフと統計学の「区間推定」という理論です。左右対称の山型の形状をしており、下の図のように囲まれた部分の面積が確率となる特殊な性質を持っています。この2つの性質を使うことで、A候補が「当確」かどうかをつかむことができます。

正規分布曲線の性質

まず今回のケースでは、「正規分布曲線」の横軸をA候補の得票率、縦軸をその得票率になる確率と設定します。出口調査における得票率が55%だったので、投票者全体で見ても55%の得票率となる確率が一番高いと考えてそこを頂点にしたグラフを作成します(もし出口調査での得票率が65%の場合、得票率65%となる確率が高い山のグラフを作成します)。

(図:『身の回りの数学』より)
次ページグラフを描いていくと…
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