選挙速報が開票率0%でも「当確」出せる納得の訳 メディアの出口調査はどう活用されているのか

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得票率が0%や100%となる可能性はほぼないことや、得票率が20%や80%となる可能性もあまり高くないことを考慮してグラフを描いていくと、上の図のような左右対称の山型のグラフである「正規分布曲線」ができます。

正規分布曲線

(図:『身の回りの数学』より)

この「正規分布曲線」だけでは、A候補の得票率が40%や50%となる可能性がないとは言いきれません。繰り返しになりますが、「正規分布曲線」は面積=確率を表す特殊なグラフです。確率は最大が100%ですから、ここでは正規分布曲線の面積も最大100%と言い換えられます。このように考えることで、A候補者の得票率の範囲の面積を求めて、その確率を予測していきます。

まず、正規分布曲線の端の部分から考えていきます。この部分はグラフを見たところ確率はかなり低そうに見えます。詳細な求め方は省きますが、A候補者の得票率が60%~90%となる確率を具体的に求めると0.07409%となります。つまり、A候補の得票率が60%~90%となる可能性はほとんどありません。

正規分布曲線とA候補の得票率

(図:『身の回りの数学』より)

次に、予測の精度を上げるために「区間推定」という理論を使います。
皆さんは、100点満点の試験を受けたとき、自己評価として自分の点数を予測したことがあると思います。

そのとき「今回の点数は83点かな?」などのように細かく予測するでしょうか。おそらく、「80点前後かな」や「80点以上は取れただろう」といったように「区間」で予測するのではないでしょうか。こうしたほうが予測の精度が上がると直感的に私たちはわかっているからです。つまり、予測の精度を上げるためには区間で考えることがポイントです。

その「区間推定」の考え方を「正規分布曲線」に用います。ただし、予測ですからその精度を100%にはできません。多くの場合は予測の精度を90%、95%、99%に設定することが多く、特に95%とすることが多いです。ここでも「95%の確率」で予測するように設定しましょう。この場合、正規分布曲線の面積が95%となる範囲を求めればよいことになります。

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