土鍋に水と昆布を入れ、中火にかけます。土鍋を使っていますが、金属の鍋でも同様につくれます。ただし、金属の鍋の場合は昆布の量を増やして、鍋底に豆腐が直接あたらないようにすると、やわらかく火が入るのでよりおいしくつくれるでしょう。
鍋底から細かい泡が次々と上に浮かぶころになると水温は82〜85℃程度に上がっています。
火を弱火に落とし、豆腐を入れます。豆腐を入れたことで水温が下がり、70℃〜75℃程度になります。
具材を加えて、ごく弱火で5分煮ます。豆腐は冷たい状態だとプルプルとした食感ですが、加熱すると構造がゆるみ、ふんわりとした食感に変わります。しかし、加熱を続けるとタンパク質が硬くなり、舌触りが粗くなってきます。
これを「すが立った状態」と呼びますが、豆腐の場合、その基準となる温度が70℃です。湯豆腐は加熱しすぎないように沸騰よりもかなり低い温度でゆっくり加熱するのがポイント。
湯豆腐の具材はなんでもいいのですが、低い温度で加熱するので根菜類などは向きません。また、ほうれん草などアクが出る野菜も避けましょう。タンパク質を入れるのであれば肉よりも低い温度で加熱できる魚が向いています。
これらの点を考慮すると春菊やタラなど昔ながらの具材は理にかなっているのです。ちなみにキノコは生では食べられませんが、やや低めの温度でゆっくりと加熱するとうま味が増え、おいしくなるのでやはり向いているでしょう。
5分経ったら食卓に鍋を運びましょう。ついカセットコンロなどでグツグツやりたくなりますが、湯豆腐は鍋料理ではないので避けるのがベター。具材を足すときは別にゆでたものを加えると豆腐に火が通りすぎるのが防げます。
豆腐と具材をすくい、だししょうゆをかけながらいただきます。味が濃ければ鍋の煮汁で調整するといいでしょう。さて、肉よりも魚のほうが低い温度でタンパク質が固まり、殺菌温度にも達するので湯豆腐の具材には向いていますが、若い人にはやや物足りない、という向きもあります。
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