バイオミミクリー・インスティテュートの共同設立者である生物学者ジャニン・ベニュスは、都市計画から新しい環境保全の手法が出てくることを願って、すべての都市が取り組むべき課題を提言している。
彼女が述べているのは、都市はもともと自然の生息環境だった場所を占有しているのだから、少なくとも、かつてその場所で提供されていたのと同等の生態系サービスが提供されるようにするべきだということだ。
そこには太陽エネルギーも、肥沃な土壌も、空気の浄化も、水の循環も、二酸化炭素の回収も、生物多様性も含まれる。
都市設計者たちは彼女から示された課題に果敢に挑戦しようとしているようだ。近年の最先端のサステナブル建築物は、実質的に再生可能エネルギーを生産しているほか、周囲の大気を浄化し、排水をみずから処理し、廃棄物で土壌を作り、数多くの動植物の永住の地を提供している。
将来、都市は自然から恵みを受けるだけでなく、自然にお返しができるようになるかもしれない。
人類は自然との調和を取り戻せる
調和とは、要するにギブ・アンド・テイクのことだ。
人類が全体として、少なくとも受け取る分だけは自然界に返すことができ、過去の負債もいくらかは返せるようになるとき、わたしたちは今よりも調和の取れた生活を営めるようになるだろう。すでにそのような新しい考え方の例は世界じゅうに現れている。
世界の国々がニュージーランドのように3P(利益、人、地球)の目標を設定し、日本のように高い生活水準を実現し、モロッコのように再生可能エネルギーを大々的に導入し、パラオのように海を管理し、オランダの農家のように持続可能でなおかつ効率のよい方法で作物を栽培し、インドの人のように菜食を中心にし、コスタリカのように再野生化を推進し、シンガポールのように都市に自然を取り入れれば、人類は自然との調和を取り戻せるだろう。
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