また食品の値段が高いせいで、いまだに世界には健康的な食生活を送ることがままならない人がおおぜいいる。そのいっぽうで、廃棄されている食品の量は、世界で生産されている食品の3分の1にのぼる。
インフラが整っていない貧しい国々では、農作物の収穫や保管のまずさのせいで、出荷前の段階で、大量の食品の廃棄が生じている。裕福な国々では、食品の廃棄が生じるのは主に出荷後だ。
形の悪いものが取り除かれることもあれば、多く注文しすぎた分が処分されることもある。また単純に食べ切れなかったものが、ごみ箱へ直行することも多い。
もっと理にかなった世界では、インフラも、保存方法も改善されるはずだ。
企業が食品廃棄物を家畜のえさにしたり、養殖や家畜の飼料用のハエを育てている「昆虫農場」に送ったりするサービスを手がけるかもしれない。
木の実の殻など、繊維質に富んだ廃棄物は、林業で出た廃木材と組み合わせて、バイオ燃料として暖房や発電に使える。
そのようなことを通じて、二酸化炭素を回収し、貯留することもできる。
無酸素で廃棄物を焼いて、「バイオ炭」を作ることも可能だ。バイオ炭は建築資材になるほか、低炭素の燃料としたり、地味をよくすると同時に地中に炭素を閉じ込められる土壌添加剤としても使える可能性がある。
長く使い続けられる製品の開発
産業技術的サイクルでは、製品の設計しだいで循環効率が左右される。プラスチックや、合成繊維や、金属から製品を作っている企業は、数年しか使えないものではなく、もっと寿命の長い製品を作ることができる。
部品も、簡単に取り外しや、分解や、組み立てや、アップデートができるものを作ることができる。製造は今よりもはるかに標準化されなくてはならないだろう。部品が複数の供給業者によって作られ、交換できるようにするためだ。
すべての製品ラインのすべての部品について、最善の調達先と、のちの行き先も考えなくてはいけなくなるだろう。
循環型の手法のもとでは、顧客と企業の関係も変わると考えられている。洗濯機でもテレビでも、顧客はメーカーから製品を買うのではなく、借りるだけになり、修理やリサイクルが今よりはるかにふつうになるだろう。
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