都市の中心部に、大金を投じて建設された大規模な建物には、高い水準の断熱率やエネルギー効率を求めることができる。
これらのことから今では、都市生活者のほうが農村に暮らす人より、ひとり当たりの炭素の排出量がだいぶ少なくなっている。
世界的な大都市はさらに先へ進もうとしている。今、世界の都市間では、優秀な人材の獲得競争が繰り広げられているというのが、大都市の首長たちの認識だ。都市の魅力を高めるには、徹底的に環境に配慮した快適な都市を築くことが何よりも有効な手段になる。
都会に植えられた植物は人々に憩いの場を提供するだけでなく、都市を冷やし、空気をきれいにする。都市居住者の精神衛生にもいい。だから都市部では自然が歓迎され、公園が拡張されたり、並木道が作られたり、屋根や壁を植物で覆うことが推奨されたりしている。
パリは現在、建物の屋上や壁に100ヘクタール分の緑を敷設している最中だ。
中国のいくつかの都市では、川べりに人工的な湿地が設けられている。これは季節的に増水する川の水を吸収したり、市民に自然を愛でる場を提供したりするためだ。
ロンドンは世界初の国立公園都市になることを宣言し、面積の半分以上を自然に戻す計画や、市民の生活をより環境に配慮し、より健康的で、より自然に囲まれたものにする計画を発表した。
シンガポールの「庭園都市」の試み
都市国家シンガポールは、自国を「庭園の中にある都市」にするという構想を掲げる。
新しく建てる建物はすべて、その建物を建てるために失われた植物と同等の量の植物を補うことを義務づけられている。その結果、現在、国内のあちこちに、植物で覆われることを想定して設計された建物が立つ。
ある病院では、そのような緑化のおかげで患者の治癒率が高まったことが報告されている。国内の公園はすべて緑道で結ばれており、海岸沿いの一等地も100ヘクタールにわたって、貯水池と庭園に変えられた。
庭園内に林立する高さ50メートルの人工樹は、太陽光パネルで得た電力を使って、水を集めて庭園を潤したり、空気を浄化したりしている。
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