どちらのサイクルでも、リサイクルできないものや環境に有害なものは、素材にせよ化学物質にせよすべて、しだいに経済から取り除かれるだろう。
今、いちばん問題になっているのは、世界じゅうで冷蔵庫やエアコンに使われている人工物質ハイドロフルオロカーボン(HFC)だ。
製品寿命が尽きたとき、そのHFCがすべて放出されたら、100ギガトンの二酸化炭素と同等の温室効果ガスが大気中に加わることになる。
これに関しては、すでに2016年の国際協定で、地球温暖化を招かない化学物質に切り替えるための道筋がつけられている。
循環型経済の目標は、汚染物質のない世界を築くことにある。海に浮かぶプラスチックも、工場の煙突から出る有毒ガスも、燃やされるゴムタイヤも、海面を覆う油もない世界だ。さらにその世界では、現在の資源のむだ遣いが埋め合わされるかもしれない。
今のごみの埋立地は、循環型経済を支える資源の採掘場になりうる。海流の渦に集まっているマイクロプラスチックも回収して、海の養殖場の建材として使うことができる。資源の活用の仕方が変われば、人類も廃棄物をいっさいなくして、自然界の循環をまねられるのだと多くの人が信じるようになる。
都市こそが持続可能性のカギを握る
わたしたちが生活を営む場所はどうなるか。2050年には、世界の人口の68%が都市居住者になると予想されている。
一時期、都市は環境活動家のあいだで環境破壊の元凶と見なされていた。いたずらにエネルギーを食う交通やら、汚染やら、住民の際限のないニーズやら、世界じゅうで汚れたフットプリントを増やす物質やらにまみれた場所とばかり思われていたからだ。
しかし近年、都市にはむしろその人口密度の高さゆえに、持続可能性を実現しやすい条件が整っていると考えられるようになってきた。
都市の設計者たちは都市を歩行者や自転車利用者に優しいものにするにはどうすればいいかを研究している。都市には、高効率で低炭素の公共交通を組み込むこともできる。デンマークの首都コペンハーゲンなどのように、地熱発電や都市の廃棄物による熱エネルギーを使った地域暖房システムを導入している都市もある。
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