人類が目指すべき「自然と調和した世界」の姿 「持続可能な世界」とはどのようなものか?

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わたしは今の使い捨て社会になる以前の時代を覚えている。その頃は、修理して使ったり、再利用したりするのが当たり前で、プラスチック製品はほとんどなく、食べ物も貴重だった。

今のようになんでも捨て去る世の中になったのは(もちろん、本来、この有限の惑星では、いかなるものも捨て去ることなどできないのだが)、比較的最近のことだ。

ごみはむだであるというだけでなく、積み重なれば、しばしば有害にもなる。自然界にもこれと同じ問題があり、わたしたちはここでも自然界から解決策を学べる。

自然界では、ある過程で出たごみは、次の過程で栄養として使われる。あらゆる物質がさまざまな生物種からなるサイクルの中で再利用されているのだ。しかも、ほぼすべてのものが最終的には微生物によって分解される。

循環型経済における2つのサイクル

エレン・マッカーサー財団の研究者をはじめ、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の可能性を研究している人々は、自然界のその仕組みと効率を人類の社会に取り入れる方法を探っている。

循環型の考え方で大事なのは、「取る・作る・使う・捨てる」という現行の生産モデルから、あらゆる原材料を自然界における栄養素のように「リサイクルすべきもの」と見なす生産モデルへの切り替えを思い描くことだ。

そうすると、わたしたち人類が2つの別々のサイクルに携わっていることが見えてくる。生物学的サイクルと産業技術的サイクルだ。微生物によって自然に分解されるもの(食物、木材、天然素材でできた服)はすべて生物学的サイクルの一部であり、そうではないもの(プラスチック、合成繊維、金属)はすべて産業技術的サイクルに含まれる。

どちらのサイクルでも、原材料(炭素繊維であれ、チタンであれ)は再利用しなくてはならない要素になる。

わたしたちの知恵が試されるのは、その再利用をどのような方法で行うかという点だ。

生物学的サイクルでは、食品廃棄物の扱いがカギを握る。前に見たとおり、現在の食料生産は、森林破壊や、農薬と合成肥料の使用や、輸送のための化石燃料の使用につながっている。

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