人は「挫折、貧乏、失敗」の告白に共感する 人生の節目に贈る5つのベストスピーチ

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人生に付きものの失敗、挫折、苦悩・・・。そこから何を得たのかを吐露するスピーチは、聞く人の心を捉える(写真:Ushico / Imasia)

「私は小さい頃、本当に貧乏でね。ある時、友達の家に行ったら、そこでステーキとチーズケーキを出されたんだ。それが美味しくてね。どんな商売をしてるのか、と聞いたら、父親は社長だという。それで、社長になることに決めたんや」

伝説の経営者、日本電産の永守重信社長の話はいつ聞いても、パワフルで面白い。もう20年も前に直接聞いたこの話は、前回ご紹介したお絵描き話法の実践事例のような情景描写もたっぷり入り、口角泡を飛ばす社長の気勢とともに、くっきりと筆者の記憶に刻み込まれている。

ソフトバンクの孫正義社長も、自分の苦労話を包み隠さずにする人だ。「『ミカン箱の上にたって、豆腐のように1丁(兆)、2丁(兆)と数えられる会社にするんだ』と誓った」、などの話は繰り返し語られるエピソードだった。人はそんな苦労話に否応もなく魅かれてしまう。

なぜ、他人の挫折や苦悩、貧乏体験に聞き入ってしまうのだろうか。その答えは後回しにするとして、今回は、卒業式、入学式などまさに節目のこの季節に、人生の新しいスタートをきる方々に、筆者の独断で選んだ、魂を揺さぶる「卒業式のベストスピーチ5選」をご紹介したい。これらのスピーチはどれも、成功者が自らの挫折や困難、葛藤から何を得たのかを教えてくれる。人生の岐路に立った時、落ち込んだ時、誰かを励ましたい時、きっとあなたを勇気づけてくれるはずだ。 

JKローリングスの「失敗の効用」

〝私の親も貧乏でしたが、私の暮らしも恵まれてはいませんでした。それは決して、崇高な経験とは言えません。貧困は恐怖とストレスと絶望を生みます。それは屈辱と困難の連続でもありました。貧困から這い上がることは誇りに思えても、貧困そのものを美化するのは愚か者のみです″

ハリーポッターシリーズの著者として知られるイギリスの作家、JKローリングさんが2008年にハーバード大学の卒業式で行ったスピーチは彼女の人生をたどりながら、失敗することの大切さと想像力を持つことの重要性を訴えるものだった。彼女は両親の反対を押し切って、小説家になりたいという夢を抱えて大学で文学を専攻する。

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