人は「挫折、貧乏、失敗」の告白に共感する 人生の節目に贈る5つのベストスピーチ

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〝卒業から7年がたち、私の人生はとんでもない失敗に陥ってしまいました。結婚はあっという間に終焉を迎え、仕事もなく、シングルマザーとして、まさにホームレス一歩手前という貧困の際にありました。失敗は楽しいものと言うつもりはありません。まさに暗黒の時でした。おとぎ話のような結末が待っているとも思えず、トンネルがどこまで続くのか見当もつかず、その先に見える光は長い間、現実というよりは祈りでしかありませんでした。

ではなぜ、『失敗の効用』を説くのか。それは、失敗は不必要なものをはぎ取ることを意味するからです。私は自分自身を偽ることを止め、私の持てるすべてのエネルギーを、私にとって唯一大切と思えることに注ぎ込むことにしました。他のことで成功していたとしたら、私が本当に成し遂げたいと思ったことを実現することはできなかったでしょう。まさに、人生のどん底が人生を立て直すための礎になったのです″ 

スティーブ・ジョブズの挫折と挑戦

これは聞いたことがある方も多いかもしれない。何度聞いても勇気がわいてくる、スティーブ・ジョブズ(アップル共同創業者)の2005年のスタンフォード大学でのスピーチだ。

私を生んだ母は若く、未婚の大学院生で、私を養子に出すことにしました。彼女は大学を出た人を希望し、弁護士夫妻のところにもらわれることが決まっていました。しかし、彼らは結局女の子が欲しい、と希望を翻し、私は(今の)両親のところに行くことになったのです。母となる人が大学を出ておらず、父となる人は高校さえ卒業していなかったことを、生みの母が知ったのは後のことでした。そのことを知った生みの母は養子に出すことを拒みましたが、両親が私を大学に行かせるということを条件に了解したのです

裕福とは言えなかった両親に高い学費を払わせてまで、大学に行くことに価値を見いだせなかったジョブズは入学からわずか6カ月で、大学をドロップアウトしてしまう。

当時はおっかないことをしてしまったという気持ちもあったけれど、今となっては人生で最高の決断だった

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