なぜ米国には「中絶を認めない州」があるのか キリスト教の威力を池上彰氏が徹底解説

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アメリカでは人工妊娠中絶の可否で分断が進んでいる(写真:Montinique Monroe/Bloomberg)
女性の権利として認められていた人工妊娠中絶。アメリカでは必ずしもそうではありません。
今年、アメリカの連邦最高裁判所は、「中絶は憲法で認められた女性の権利」とした49年前の判断を覆す判決を下しました。これには、中絶に反対する保守派が大歓迎する一方、中絶は女性の権利だと主張するリベラル派は猛反発。まさにアメリカでは、分断が進んでいます。
その理由のひとつに、キリスト教の影響があると池上氏は語ります。池上彰氏の新刊『聖書がわかれば世界が見える』より解説を抜粋します。

国民の4分の3がキリスト教徒

キリスト教が世界に広がっていった結果、国民の多くがキリスト教徒で、キリスト教の考え方が政治の方針を左右するという国も多数あります。中でも世界の大国アメリカは「政教分離」を謳っていながら、キリスト教の影響を強く受けています。

アメリカの宗教人口の割合は、おおむねプロテスタントが約50%、カトリックが約25%、その他の宗教が約5%、無宗教が約20%となっています。つまりアメリカ国民の4分の3はキリスト教徒なのです。

プロテスタントのうち、いわゆる「福音派」とされる人たちが半数近くを占めるため、アメリカ全土では福音派が人口の4分の1を占めています。

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