「教育困難校」妊娠事件に凝縮された日本の闇 親からの愛情不足が、貧困問題の根本原因だ

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筆者が忘れらない女子生徒のエピソードから、社会に横たわる問題の根底が垣間見える(写真:Graphs / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どもの学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

受験校との決定的な意識の違い

自分の将来を考えずに、今つかんでいる「恋愛」を信じ込み、妊娠→高校中退→結婚・出産と足早に進む高校生は、「教育困難校」では決して少なくない。一方で、いわゆる「進学校」や「中堅校」ではこのような生徒はほとんど見られない。これらの高校に通う生徒たちには、恋愛状態になっても、そこで起こす行動と結果が自分の将来にとって損か得かを考える知恵があるのだ。受験校出身の読者の中には、気になる異性がいても、「お互いの受験が終わるまでは何もしない」と行動を自制していたことを、ほろ苦く思い出す人もいるだろう。

もちろん、日本では小学校高学年以来、中学、高校と性教育の授業が行われ、その中では妊娠のメカニズムや予防法だけでなく、相手を尊重する人権教育や、キャリア教育の観点も含まれている。しかし、熱い感情の前では、授業で得た知識は吹き飛んでしまうようだ。高校生の恋愛では、妊娠する可能性のある女子高生のほうが、当然リスクは大きい。

また、女子高生という立場をもてはやす現在の風潮と、それに便乗して次々と生み出されるJKビジネスなどを通して、異性と接する機会が多いのも女子のほうだ。だが、恋愛から高校中退までの行動を起こさせる相手は、同じ高校の先輩や同級生、友達の友達、バイト先や遊びに行った先で知り合った若者など、同年齢か数歳年上の若者がほとんどである。

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