「教育困難校」生徒が奨学金地獄に陥る仕組み

スマホ中毒で非現実的な夢しか考えられない

夢見ることは、決して悪いことではないのだけれど…(写真:Graphs / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どもの学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

「アニメだけ見る仕事ってない?」

次の会話は、「教育困難校」における、ある日の進路指導室でなされたものである。

「先生、俺、将来何をやればいい?」
「何言ってんの。人に決めてもらうつもりなの?自分の人生なのに」
「何やっていいかわかんないよ。まだ、就職したくないから、とりあえず進学とは思っているんだけどさ……」
「好きなこと、興味のあることを考えてみることから始めてごらん」
「う~ん、好きなことはゲームかな。ゲームをやって食べていける仕事ならやりたい!」
「あることはあるけど、それでずっと食べていけるのは、ごくごく限られた人だけだよ。ほかに好きなことは何?」
「あとは、アニメかなあ。そうだ、アニメを見るだけって仕事ない?」

 

冗談のように思えるだろうが、この生徒は本気で聞いている。確かに将来の方針を決めづらい時代ではあるが、これまでの人生で自分で何かを決定した経験の少ない生徒たちは、何とか周囲の人に頼ろうとする。教師が相談されるのは、彼らから信頼されている証しともいえるのだ。

次ページ幼い頃からさまざまな体験が乏しく…
関連記事
トピックボードAD
  • 会社を変える人材開発の極意
  • 最新の週刊東洋経済
  • ブルー・オーシャン教育戦略
  • 育休世代 vs.専業主婦前提社会
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
今だからこそ光る<br>絶好調企業の秘密

なぜあの会社の収益力は高いのか。パーク24、「かつや」のアークランドサービスなど17社の稼ぎの秘訣を大公開。テーマは「内需」「海外」「新市場創造」「重厚長大企業の復活」。産業天気図や出遅れ銘柄ランキング、株価10倍銘柄なども。