将来への負担感を感じさせない給付型奨学金の必要性を強調する、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏。貧困層は「トンネリング」と呼ばれる視野狭窄状態に陥っていることが多く、未来への投資を行う経済合理性を期待するのは難しいことを、導入の主な根拠としている(前編:「給付型」奨学金が日本の貧困層には不可欠だ)。
しかし、同時に奨学金の問題は、それだけをみると本質を見失いがちだとも指摘する。硬直的な労働市場のあり方が、「大卒」を目指す人々のマインドに大きく影響しているし、高額の学費を受け取る大学が提供している、教育内容の問題も見逃すことはできない。インタビューの後編では、こうした奨学金に連関する問題点に迫った。
進学費用は、大学関係者の人件費が重い
――日本では、教育費は親が稼いで調達するのが当然という風潮、強いですよね。しかし、高等教育にかかる費用はとても高い。
1人の子供について、大学を卒業させるまでには最低でも2000万円かかるんですよね。そのうちの半分が大学関係費用で、さらにその半分が大学関係者の人件費なんです。
――奨学金が、大学への追加の「補助金」化しているのではないかという批判もある。
ここは明確にしておきたいのですが、私はどのような大学でもいいから、誰もが進学するべきだとは思っていません。いわゆる「Fランク大学」に入って卒業しても、きちんとした教育を受けられずに奨学金を返せるメドが立たないことになるなら、意味がない。
そういう大学は、教育機関として失格だと思いますし、税金によって助ける必要なんてない。潰れるべき大学もまだまだあると思いますが、相当数、残っていますね。
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