奨学金問題の根本原因は教育・雇用の歪みだ 高すぎる大学の学費は、少子化も加速させる

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――高校教育やワークスタイル、社会保障の問題と、奨学金の問題はよくよく考えると密接につながっているのですね。

給付型奨学金を語ると、それさえあればすべて解決するかのように聞こえてしまうかもしれないけど、「大卒」というシグナリング効果を残存させる原因になっている労働市場や高校・大学の教育のあり方は、それぞれ改革が必要になります。

ただ、目の前の貧困に陥っている子供たちをどう支援していくかということも、同時に考えていく必要がある。今は大学を出たほうが貧困から脱出できる可能性は高まるし、教育にアクセスがしにくい人は「トンネリング」(視野狭窄)に陥っている低所得者層の子のほうが相対的に多いから、給付型奨学金が必要だというロジックになるわけです。

教育にこそ、絶対に投資するべき

これから日本では労働人口が減り、安いものをたくさん作るだけでは、世界で太刀打ちできない。そこで、イノベーションと知的付加価値で食べていく必要があるわけですが、教育が受けられない層の割合が増えると、イノベーションを生み出す確率も減っていくし、労働力の劣化も起きてくる。

しかし、給付型奨学金の話をすると、すぐに「財源はどこから出すんだ」という話になる。でも、よく考えてみてください。年金で約50兆円、医療で約40兆円もの予算をかけている。一方で、極端な話、日本のすべての大学を無料化した場合でも、2兆~3兆円くらいあれば足りる。ケタが全然違うわけですよね。そうすると、やれることはまだまだたくさんある。

この問題を単純化すれば、公的支出のポートフォリオをどう変更するかという話でしかないともいえる。日本は資源もない国ですから、人材こそが命です。先々のことを考えるなら、教育にこそ絶対に投資するべきなのです。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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