就活で自己PRできない教育困難校の生徒たち 面接でいっそ「トランプ」をした方がいい理由

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教師との模擬面接でも、極度の緊張で予想もできない言動を連発してしまう生徒…(写真:Ushico / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どものもつ学力、家庭環境等の「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

面接指導で一番苦労するのは…

「教育困難校」の生徒の第1志望の企業が決まったら、生徒の気が変わらないうちに教師が会社見学の申し込みを行う。ほとんどの企業では、夏休み中に、その会社を志望する可能性のある生徒に会社見学をさせてくれるのだ。この際には選考をしてはいけないという規則があるので、企業にとってのメリットは限定的だと思うが、高校生にとっては非常に大きな意味がある。生徒がひとりで企業に出向き、その企業を見ることは、教師のどんな言葉よりも意識改革につながる。しかしながら、実際に働く場を見て、「やっぱ、まだ働きたくない」と言い出す生徒がいるのも現実だ。

この会社見学と並行して、面接練習や履歴書を書く指導が続けられる。企業の方々が想像している以上に、これらの指導は教師によって手取り足取り行われているのが実態だ。逆に言えば、生徒に任せたら、面接も提出書類もまったく形にならないのである。

中でも、いちばん苦労するのが志望動機をまとめることだ。以前執筆した記事でも述べたように、「教育困難校」の生徒は親思い、家族思いで、自分の夢をあきらめて就職をする生徒が多い。そのため、「なぜ、働きたいのか」という質問に対して、まだ世間ずれしていない高校生は答えられなくなってしまうのだ。

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