貧困家庭の高校生が乗り込む「泥舟」の悪循環

親のために始めた「JKビジネス」にはまる子も

家族のためと我慢して頑張ったのに、結局自分を犠牲にしている子どもがたくさんいる(写真:Graphs / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どものもつ学力、家庭環境等の「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

家庭の話に敏感で

「教育困難校」では、生徒が教師に少しなじんでくると、教師は家族のことをよく質問される。最初の質問は、「先生、結婚してるの?」である。独身の場合は「なんで結婚しないの?」と続き、既婚者の場合は「子供何人? 何歳?」と立て続けに質問される。このような質問は、進学校や中堅校では出てこない。「教育困難校」の生徒がいかに家庭や家族に関心があり、それに敏感かがわかる。

「教育困難校」に通う生徒の家庭環境はたいへん厳しく、その構成員や家族となった経緯も実に多様だ。ひとり親家庭も多く、父親であっても母親であっても正規雇用ではないため、収入が少ない家庭がほとんどである。特に、貧困率の高い母子家庭では、母親が収入を得るためにダブルワーク、トリプルワークをしている場合も珍しくない。特技やキャリアを持たない30代以上の女性が、子どもを抱えて働ける職種は限られる。少しでも収入を増やすため、夜勤や泊りのある介護のパートを行い、早く帰れる日は居酒屋でアルバイトする、といった働き方をしている母親は大勢いる。長距離トラックの運転手をしており、ほとんど自宅に戻れず、子どもと顔を合わせるのは月に数日という母親もいるほどだ。

両親がいる場合でも、経済的に厳しいのは同様だ。父親は個人商店主だが経営が非常に苦しく、やむをえず、父親も母親もほかの仕事のアルバイトをしている、という話を最近よく耳にする。また、父親が転職を繰り返し、そのたびに収入が減り、住まいも小さくなっていく家庭もある。もとは腕のよい職人だったが、事故やケガで無職となって、その後、仕事が見つからないという例も多いようだ。

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