「学習困難」な生徒が、あえて大学に行く理由

低偏差値高校の実績作りに利用されている?

教師からは「大学は自由で楽しいところ」と言われて進学するようですが……(写真 :Graphs / PIXTA)
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どもの学力や、家庭環境などの「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。

「教育困難校」に進路指導のお手伝いに伺うと、「大学進学を目指す生徒が少しでも増えるように、大学進学のメリットを話してください」と、しばしば頼まれる。こう求めてくる教員は、管理職や学校改革の責任者になっている教員が多い。

高校を評価する基準は、大学進学率?

現在、世間が高校を評価する基準は、大学進学率が唯一といっても過言ではない。15年ほど前から、少子化を受けて全国各地で高校の再編成が行われている。再編成といっても、進学校の存続はまったく問題にされない。存続か廃校かの危機にさらされているのは、やはり「教育困難校」である。

学校をマネジメントしなければならない立場の教員が、とにかく大学進学率を上げ、世間の評価を少しでもよくして生徒募集につなげようとするのは当然であろう。ごく一部の分野を除いては、専門学校への進学は高校のPRにはならないのだ。しかし、とにかく1人でも多く大学に行かせたいという願望は、生徒の適性や能力を無視し、学校の都合を重視したものでもある。このような立場の教員にとっては、大学は自身が勤める高校の評価を上げる手段にすぎない。

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