アフターピルで「性が乱れる」と叫ぶ人の勘違い

女性側の事情を考慮しない「有識者」の言い分

国内で承認されている緊急避妊薬(写真:共同通信)

若い人たちからは特に「アフターピル」と呼ばれ、認知度が高まりつつある緊急避妊薬。それを市販薬(OTC薬)とする方針が、10月8日報じられた。内閣府は8日、女性の社会参画に関する有識者会議で示した「第5次男女共同参画基本計画」案に、以下のように明記したという。

「避妊をしなかった、または避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性の求めに応じ、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する」

「アフターピル後進国」の日本

アフターピルは、性交渉の後72時間以内に服用することで妊娠を高い確率で回避する。現在は原則として医師の処方箋なしには購入できない、いわゆる処方薬だ。一方、欧米やアジア諸国90カ国以上ではすでにOTC化されている。風邪薬や胃薬と同様、薬局に出向けば簡単に手に入るのだ。日本は完全に「アフターピル後進国」なのである。

ナビタスクリニックではOTC化の早期実現は難しいと判断し、2018年からオンライン診療・処方を続けてきた。緊急性や必要性を考え、性交渉から120時間後まで効果の得られる個人輸入薬も用意して、女性たちの切実なニーズに最大限応じてきたつもりだ。2019年には152件のオンライン受診者にアフターピルを処方、発送した。

今回の内閣府の発表を聞いて、ようやく肩の荷が下りたと思った。

だが、少し引っかかったのは、それに続く厚労相会見の報道だ。田村憲久厚労相は、閣議後の記者会見で、「これまでの議論を踏まえ、しっかり検討していく」「期限を区切ってとは考えていない」と発言した。

厚労相の言う「これまでの議論」が、オンライン診療をめぐる厚労省検討会でのやり取りを指すことは間違いない。多くの“有識者”が、アフターピルについてはOTC化どころかオンライン診療でさえ、全面解禁に難色を示してきた。

また、解禁の時期について、厚労相があえて見通しを示さなかったのも気になった。実は10月7日時点の報道では、政府方針として「2021年にも導入する」とあった。しかし8~9日の内閣府案報道では、その文言はなくなっていた。そればかりか、薬剤師の対面で服用する条件が付いたという。厚労省検討会を大幅に加味した最終調整が行われた、と見るのが普通だ。

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