「生理前の不調」に苦しめられる女性の実情 PMSやPMDDの治療は「婦人科」だけでは難しい

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PMS・PMDDには、漢方薬や抗うつ剤・抗不安薬・向精神病薬などが処方されることが多い(筆者撮影)

30代後半の桃山麻耶(仮名)さんは、2019年の9月、激しい動悸と「このまま死んでしまうのではないか」という不安感、身の置き所のない苦しさに襲われて救急車を呼んだ。

搬送された病院では、循環器科の先生が女性だったので、問診の際、念のため「生理前です」と伝えた。

その日は簡単な検査の後、精神安定剤を処方され、診察の予約をして帰された。

バイエル薬品が制作し、婦人科などで配布している冊子(『生理前カラダの調子やココロの状態が揺らぐ方へ PMS 月経前症候群』)によると、約74%の女性が、月経前や月経中に体や心の不調(月経随伴症状)を抱えているという。

月経随伴症状とは、月経前はPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、月経中は月経困難症と呼ばれる症状だが、日本ではまだあまり知られていない印象だ。

しかし、ホルモンバランスの変化により、精神状態や体調が変化することに気づき、悩んでいる女性は少なくない。

そこで、実際にPMSやPMDDに苦しむ女性の事例を紹介することで、PMSやPMDDについての理解を社会に広められたらと思う。

生理前の2~3日がつらい

後日、桃山さんが救急搬送された病院へ行くと、循環器科の医師から婦人科の受診を勧められた。

桃山さんは、友人が通っている婦人科を受診。丁寧な問診を受けた後、PMDDと診断された。

「PMDDという病気を知ったのはそのときが初めてです。数年前から生理2~3日前になると、身の置き所のないような、何とも言えない不快な感覚に襲われることがありました。でも、年齢的なものもあるのかなと、そこまで深刻に捉えてはいませんでした」

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