「生理前の不調」に苦しめられる女性の実情 PMSやPMDDの治療は「婦人科」だけでは難しい

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EP配合剤などのホルモン剤とは、エストロゲン(E:卵胞ホルモン)とプロゲステロン(P:黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンを配合した薬だ。服用中は排卵を休めることで子宮内膜を薄い状態にし、経血量を減らすだけでなく、子宮内膜での痛み物質の産生を抑制し、PMS・PMDDの症状も起きにくくできる。

そのため、海外にはPMDD治療の承認を得ているEP配合剤が存在するが、日本国内には避妊を適応に持つピルと、月経困難症に保険適用のある月経困難症治療薬があるのみで、PMS・PMDDに適応のあるEP配合剤はない。

私は、PMSに対して低用量ピルを用いたホルモン療法(偽妊娠療法)がいいという話を聞いたことがあったので、「PMDDの治療はピルではできないのか」と婦人科で質問したが、「40歳以上の患者にピルを使うとがんのリスクが高まる」ため、ピル以外の治療方法を選択したほうがよいとのことだった。

それからというもの、私はSNRIを毎日飲み続けている。おかげで、昨年6月に経験したほどの不安感や焦燥感に襲われることはなくなり、現在抗不安薬は飲んでいない。

原因は諸説あり、解明されていないことも多い

服薬と同時に、スマートフォンに月経やPMSを記録できるアプリを入れ、毎日記録し始めた。

記録がたまってくると、自分の生理やPMS・PMDDの周期、体調の変化や傾向が把握できるようになってくる。

アプリを使うようになってから、夫は時々「アプリを見せて」と言うようになり、生理が近くなると、私の体調を気遣ってくれる。

正直、薬を飲み、アプリに記録をし続けることが面倒に感じることもあるが、自分自身や家族のために、閉経するまで継続するつもりだ。

PMS・PMDDの原因はいろいろな説があり、まだ解明されていないことが多い。

PMS自体がまだあまり世の中に知られていない中、PMSとPMDDの違いが明確になってきたのはごく最近だ。

私も桃山さんも、最初は精神科にかかることや抗うつ薬を飲むことには抵抗があったし、生理前の自分の至らなさをPMSやPMDDのせいにしているようで、気が引ける思いもあった。しかし、多少にかかわらず、体調や気分が楽になるのなら、病院や薬に頼ることは恥ではないし、PMSやPMDDと診断されたからには、自分の持病として真っ向から対峙する責任があると思っている。

生理前に苦しむ女性のすべてに私や桃山さんの経験や対処法が役立つとは思わないが、ほんの少しでも参考になる部分があれば幸いだ。

旦木 瑞穂 ライター・グラフィックデザイナー

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たんぎ みずほ / Mizuho Tangi

愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する記事の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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