アメリカのGPU(画像処理プロセッサー)大手のエヌビディアは9月20日、同社の次世代GPU「H100」シリーズの受注をすでに開始し、10月に出荷を開始すると発表した。同社のCEO(最高経営責任者)を務める黄仁勛(ジェンスン・フアン)氏が、同日開催されたAI(人工知能)技術カンファレンスで明らかにした。
エヌビディアが2022年3月に発表したH100は、新設計の「Hopper(ホッパー)アーキテクチャー」を採用。その性能は現行製品の「A100」から飛躍的に向上した。同社の公表データによれば、H100は大規模なAIモデルの学習能力がA100の9倍に、大規模な言語モデルの推論能力が30倍に達するという。
ところが、中国の顧客はH100の入手を阻まれている。2022年8月、アメリカ政府が中国とロシアを標的にした新たな輸出規制を発動し、A100とH100がその対象になったためだ。エヌビディアが将来発売するGPUに関しても、演算能力がA100と同等以上の製品は輸出が規制される。
(訳注:アメリカ政府の輸出規制に関しては『米国政府、「高性能GPU」の対中輸出に新規制発動』を参照)
顧客リストに中国のクラウド大手
「エヌビディアは中国の顧客向けに、Hopperアーキテクチャーを採用しながらアメリカ政府の規制対象にならない代替製品を提供したい。それにより、中国市場のほとんどのニーズを満たすことができる」
9月21日、財新を含むメディアの取材に応じた黄CEOは、そうコメントした。しかし、具体的にどのような手直しを施して規制をクリアするのか、詳しい説明はなかった。
GPUはAIモデルの大規模データ処理に不可欠なデバイスだ。エヌビディアのA100は同種のGPUのなかで最も広く採用されており、世界中のデータセンターに大量導入されている。その顧客リストには、阿里雲(アリババクラウド)、騰訊雲(テンセントクラウド)、百度智能雲(バイドゥAIクラウド)など中国の複数のクラウドサービス大手が顔を連ねる。
「中国は極めて重要な価値ある市場だ。今後もわが社に多くの成長機会をもたらしてくれるだろう」。黄CEOは21日の取材のなかで、そう期待感を示した。
エヌビディアの決算報告書によれば、2022年1月期の通期決算(訳注:エヌビディアの会計年度は2月から翌年1月末まで)における中国本土向け売上高は71億1100万ドル(約1兆205億円)に上り、総売上高の26.4%を占めた。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月21日
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