米国上場の中国系企業「上場廃止回避」に光明 監査法人の監督に関する相互協力に米中が合意

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アメリカに上場する多数の中国系企業が、アメリカ政府の監督強化で上場廃止リスクに直面している。写真は不正会計が露呈したラッキン・コーヒーの上場時のセレモニー(ナスダックのウェブサイトより)

中国の証券監督管理委員会(略称は証監会。日本の金融庁の証券監督部門に相当)と財政省は8月26日、アメリカの証券市場に上場している中国系企業の監査・監督に関する相互協力についてアメリカの公開会社会計監査委員会(PCAOB)と合意に至り、協定に署名した。双方による協力は近く実行に移される予定だ。

(訳注:PCAOBはアメリカの上場企業の監査法人を監督する機関。アメリカ証券取引委員会[SEC]の監督下で、独立した非営利法人として運営されている)

この協定には重要なポイントが3つある。その第1は、(双方が平等に処遇される)相互主義の原則を明確にしたことだ。中国側とアメリカ側は(それぞれの国の)法律が定める職責に基づき、相手国の管轄下にある監査法人に対して検査や調査を行うことができる。一方が他方から(検査の実施や資料提出などの)請求を受けた場合には、法律が許す範囲内で相互に十分なサポートを提供する。

第2のポイントは、協力の範囲をはっきりさせたことだ。そのうち(アメリカ側が中国の監査法人に対して検査や調査を行う場合に)中国側が提供するサポートの範囲には、アメリカに上場している中国企業の監査資料の原本を(会計監査を担当した中国の監査法人の)香港事務所に置くことが含まれている。

監査資料の原本のチェックが可能に

第3のポイントは、協力の手順を明確化したことだ。双方は(相手側の管轄地での)検査や調査の活動計画について事前に連絡と調整を行う。アメリカ側が監査資料の原本などをチェックする場合は、中国の監督当局を通じてそれを入手する。また、アメリカ側は中国側の関与と協力の下で、監査法人の関係者に対して面談や質問を行うことができる。

今回の協定の締結により、アメリカに上場する中国系企業の上場廃止リスクは解消されたのだろうか。この問いに対して証監会は、「この協定は中米双方が協力の強化を通じて中国系企業の監査・監督の問題を解決するために踏み出した重要な一歩であり、市場関係者の期待と予想に合致するものだ」とコメントした。

本記事は「財新」の提供記事です

証監会はさらに、国境を超えた監査・監督の協力を合法的に推進することは、(中国の)監査法人の質を高めることにつながるほか、海外市場での上場を目指す(中国の)企業のために、(当局による)国際的な監督体制の良好な枠組みを提供することにもつながるとしている。

(訳注:アメリカに上場する中国系企業の上場廃止リスクをめぐる経緯については『アメリカの中国系企業250社に上場廃止リスク』『米上場「中国企業」の監督を強化する法律が成立』などを参照)

(財新記者:全月)
※原文の配信は8月26日

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