アメリカ証券取引委員会(SEC)は12月2日、「外国企業説明責任法」が定めた情報開示項目に関する細則の策定を完了したと発表した。このことは、アメリカの証券市場に上場する中国系企業に対する新たな監督政策が、いよいよ実施段階に入ったことを意味する。
外国企業説明責任法は、アメリカに上場する外国企業の会計監査に求める条項を既存の法律に追加する形で、2020年12月18日に成立。SECおよび公開会社会計監査委員会(PCAOB)が細則の策定作業を進めてきた。そこに定められた要件を3年連続で達成できない外国企業の株式は、アメリカの証券市場での取引を禁じられる。
この法律が中国系上場企業を狙い撃ちしたものなのは明らかだった。というのも、追加された情報開示項目のなかには、外国政府による(当該企業の)所有権または支配権の有無、取締役会メンバーに含まれる中国共産党員の氏名、会社の定款に中国共産党規約の内容が記載されているかどうか、などが含まれているからだ。
米中当局の歩み寄りに一定の進展か
PCAOBのまとめによれば、2019会計年度の時点で(アメリカに上場する)中国企業178社および香港企業56社が要件を満たしていなかった。
「外国企業がアメリカ証券市場で株式を公開したいなら、その企業の会計監査法人は(PCAOBの監査を受け入れるという)アメリカのルールに従わなければならない」。SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は12月2日付の声明でそう強調し、「外国政府はPCAOBに協力し、それを実現するための行動を取ることを望む」と述べた。
中国証券監督管理委員会(証監会)は2020年4月、会計監査法人の国境を越えた監督に関する(米中当局の)共同作業の具体案をPCAOBに示した。しかし、PCAOBは「多くの面で(アメリカ側の)監査権限を制限するものだ」と主張して受け入れなかった。
このため証監会は、2020年8月に新たな共同作業案をPCAOBに提示。財新記者の取材によれば、証監会とPCAOBはその後も協議を継続し、最近になって(歩み寄りに向けた)一定の進展をみたもようだ。
(財新記者:岳躍)
※原文の配信は12月3日
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