中国ネット配車最大手の滴滴出行(ディディ)が、中国のネット規制当局からアプリ配信の停止を命じられた。同社のアプリに個人情報の収集・使用に関する重大な法令違反があるとして、7月4日、国家インターネット情報弁公室が決定を発表した。
同弁公室によれば、当局はディディのアプリの問題点に関する通報を受けて調査検証を行い、中国の「サイバーセキュリティ法」に基づく必要な措置を取った。同弁公室はディディに対し、法律の要件や政府の基準を厳正に順守し、アプリの問題点を真摯に修正して、ユーザーの個人情報のセキュリティをしっかり確保するよう求めている。
この措置についてディディは、「規制当局の要求を着実に履行し、すでに7月3日から新規ユーザーの登録を停止している。アプリに関しては当局の指示に従って配信を停止し、問題点を修正する」とコメントした。なお、アプリをすでにダウンロード済みのユーザーは、これまで通りディディのサービスを利用できるとしている。
上場先のアメリカでは集団訴訟の動き
2019年以降、中国当局はネット企業のデータセキュリティや個人情報保護に対する監督を強めてきた。国家インターネット情報弁公室、工業情報化省、公安省などが共同で、これまでに数十回の調査を実施。関連法規に違反しているアプリの運営企業に改善を指示し、それに応じなかったり改善が不十分だったりした場合には、アプリ配信の停止を命じてきた。
ディディは、6月30日にアメリカのニューヨーク証券取引所に上場したばかりだった。今回のアプリ配信停止は、上場後1週間のうちに2回目となる当局の処分だ。国家インターネット情報弁公室は7月2日、ディディに対して「国家安全法」およびサイバーセキュリティ法に基づく審査を行うと、中国共産党の中央サイバーセキュリティ情報化委員会弁公室の名義で発表。この審査期間中、ディディはユーザーの新規登録を停止しなければならなくなった。
7月2日の処分を受けて、滴滴のADS(アメリカ預託株式)は急落。同日の終値は15.53ドル(約1724円)と、前日比5.3%下落した。そんななか、アメリカの法律事務所のラバトン・スチャロウは、ディディに対して(株価下落による損失の)賠償を求める集団訴訟を起こすと発表した。
(訳注:7月4日にアプリ配信が停止された後、ニューヨーク市場での最初の取引日となった7月6日に、ディディのADSは暴落。同日の終値は12.49ドル[約1386円]と、前営業日比19.6%安で引けた)
(財新記者:銭童)
※原文の配信は7月4日
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