中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は5月13日、2021年1~3月期決算と2021年3月期の通期決算を発表した。2021年1~3月期は、182億元(約3089億円)に上る独占禁止法違反の罰金の影響を受け、純損益は55億元(約933億円)の赤字に転落した。これは2014年に同社がアメリカのニューヨーク証券取引所に上場してから四半期ベースで初の赤字決算だ。(独占禁止法違反に関しては、アリババ「支配的地位」濫用で罰金3000億の衝撃、を参照)
2021年1~3月期の売上高は前年同期比64%増の1874億元(約3兆1802億円)となり、スーパーマーケット大手の2020年10~12月期から連結対象となった高鑫零售(サン・アート・リテール)を除くと、売上高は前年同期比40%増加した。独占禁止法違反の罰金などを除いた非国際会計基準ベースの純損益は262億元(約4446億円)の黒字となり、前年同期比18%増だった。
2021年3月期の通期の売上高は7173億元(約12兆1726億円)で、高鑫零售を除けば前年同期比32%増だった。投資損益やストックオプションを除いた非国際会計基準ベースの純利益は前年同期比30%増の1719億8000万元(約2兆9185億円)だった。
決算説明会で、アリババの張勇CEO(最高経営責任者)は「新年度にはビジネス拡大によって生まれるすべての利益を、戦略的重点分野に投じていく」と語った。それには、技術イノベーション、ECプラットフォームの出店企業の運営コスト低減、ユーザー体験の向上、商品性やサプライチェーンの改善などが含まれるという。
2つの新規事業が赤字脱却
アリババは新規事業への戦略投資を強化しており、これまでに2つの新規事業が赤字脱却を果たした。1つはクラウド事業で半年前に黒字化した。もう1つは物流事業の「菜鳥(ツァイニャオ)」で、2020年10~12月期に営業キャッシュフローがプラスに転じた。
いまだに赤字が続く新規事業としては、デジタル技術を活用した「新零售(ニューリテール)」、ネット出前など生活総合サービスの「本地生活」、低価格商品に絞ったECの「淘宝(タオバオ)特価版」、地域コミュニティー向けECの「社区電商」などが残っている。
2021年3月期のアリババの通期決算において、プラットフォームを通じた商品販売の総額であるGMV(流通総額)は8兆1200億元(約138兆円)に達し、前年同期比15%増となった。そのなかで、中国国内向けは7兆5000億元(約127兆円)を占めた。2020年のその他EC大手の実績を見ると、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の年間GMVは1兆6700億元(約28兆円)、京東(JDドットコム)の年間GMVは2兆6100億元(約44兆円)だった。取引規模から見れば、アリババは依然として中国最大のECプラットフォームの地位を維持している。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は5月14日
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