9月30日、中国の電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)が開示した取締役会の新メンバーのリストから、同社創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の名前が消えた。馬氏はすでに2019年9月にトップの董事会主席(会長に相当)を退いており、今回の取締役退任で経営の表舞台から完全に身を退いた。
現在、アリババの取締役会は董事会主席兼CEO(最高経営責任者)の張勇(ダニエル・チャン)氏、創業メンバーの1人で執行副主席の蔡崇信(ジョゼフ・ツァイ)氏、CFO(最高財務責任者)の武衛(マギー・ウー)氏ら11名で構成されている。それぞれの取締役は(改選期が異なる)3つのグループに分かれており、今年の株主総会で馬氏とモトローラ・ソリューションズ・チャイナ上級顧問の郭徳明氏の任期が満了。後任には新たに武氏とソフトバンクグループ副社長のラジーブ・ミスラ氏が指名され、郭氏も再任された。
独自の「パートナーシップ」が経営の中核
だが、馬氏は依然としてアリババの人事や財務に決定的な影響力を保持している。というのも、アリババの企業統治は一般的な企業とは異なる形態をとっており、取締役会ではなく「パートナーシップ」と呼ばれる独自の組織がグループ全体の意思決定の中心的役割を果たしているからだ。パートナーシップは取締役の過半数を指名する権限も持つ。
さらに、パートナーシップのメンバー(訳注:2020年7月時点で36名)の指名権を持つ「パートナーシップ委員会」は、少なくとも5名のパートナーで構成されるが、そのなかには2人の終身メンバーがいる。それがほかならぬ馬氏と蔡氏なのである。
パートナーの影響力は、当人の持ち株比率とはまったく比例しない。馬氏は筆頭株主のソフトバンクに次ぐ第2位株主だが、アリババが7月に開示した2020年度の年次報告書によれば持ち株比率は4.8%にすぎず、しかも2019年11月時点の6.1%から1.3ポイント減少した。第3位株主である蔡氏の持ち株比率も、同じ期間に2.0%から1.6%に低下している。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は10月1日
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