「かつて、アメリカは3億人の内需で世界経済を動かした。そしてこれからは、中国の14億人の内需が世界経済の発展を牽引する」。中国の電子商取引(EC)最大手、阿里巴巴集団(アリババ)の創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、9月15日、オンラインで開催された中国国際スマート産業博覧会で講演し、中国の内需の潜在力をデジタル技術でさらに引き出すべきだという持論を語った。
馬氏の見方によれば、中国の14億人の内需はまだ十分に掘り起こされていない。内需とは富裕層の消費だけではなく、低所得層の消費こそが本当の意味で持続可能な内需拡大を支える原動力だと考えるからだ。
その意味で、中国の地方の中小都市は巨大な潜在力を秘めた市場だ。「人口100万人の都市を300カ所と人口300万人の都市を100カ所選び出し、デジタルインフラの整備を通じてデジタル消費の拡大を促せば、今後の経済発展を牽引する強力なエンジンになる」。馬氏はそう提案した。
雇用創出の主役はサービス・金融業へ
新型コロナウイルスの流行という想定外の事態により、あらゆる企業がデジタル化のより一層の推進を迫られている。それが世界的なデジタル化の流れを加速し、本来なら30~50年かかったであろう変化が、今や10~20年で実現可能になってきた。
「新型コロナの流行は、以前は非常時にだけ使われた技術を日常的な技術に変えつつある。これは巨大なビジネスチャンスだ」(馬氏)。
例えば新型コロナの流行以前、中国の街角にある零細商店でオンライン取引のリテラシーがある店は2割もなかった。しかし「コロナ後」は、わずか1~2カ月のうちに数十万店のパパママストアがオンラインで注文を受け付けるデリバリーサービスを開始した。多くの零細商店が(コロナをきっかけに)デジタル化の効用に触れ、先進技術の活用を通じた伝統的な商売の改善に目覚めたことが背景にあると、馬氏は分析する。
デジタル技術の進化により、未来の製造業では多くの作業がロボットに取って代わられ、雇用創出のメインステージはデジタル化されたサービス業や金融業に移っていく。「中国の教育を急いで変える必要がある。工業時代のやり方で子どもたちを教え、生産ラインの流れ作業に適した人材を育てていては立ち行かない。デジタル時代にふさわしい新しい教育のあり方を確立する必要がある」。馬氏はそう強調した。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は9月15日
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