「われわれは、アメリカ政府が(ファーウェイに対する)政策を再考してくれることを期待している。もしアメリカ政府の許可が得られれば、アメリカ企業の製品を購入し続けたい」
中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の輪番会長の郭平氏は、9月23日、同社が上海で開催した大規模イベント「ファーウェイコネクト2020」の会場でメディアの取材に応じてそう語った。アメリカ政府の対ファーウェイ制裁に基づいた半導体の出荷停止が9月15日から始まった後、同社の経営幹部が公の場でコメントしたのはこれが初めてだ。
郭氏によれば、ファーウェイは移動通信基地局を含むエンタープライズ向け事業に関してはほぼ十分な部品在庫を確保しており、今後も顧客へのサービスを続けられる。だが、コンシューマー向けのスマートフォン事業は膨大な量の半導体を必要とするため、事業を継続するための方策を今も懸命に模索しているという。
ファーウェイの2019年の年次報告書によれば、スマホを主体とするコンシューマー製品部門の売上高は4673億元(約7兆1964億円)と総売上高の54%を占める。もしスマホ事業が継続できなくなれば、経営への打撃は計り知れない。
韓国や日本の半導体も許可なく販売できず
アメリカ政府が5月15日に発表した制裁強化の影響により、台湾積体電路製造(TSMC)など半導体の受託製造会社(ファウンドリ)はファーウェイが設計したチップの新規受注を停止せざるをえなくなった。さらに8月17日、アメリカ政府は規制の対象をアメリカ由来の技術を使って設計・製造したすべての半導体に広げ、猶予期間が終了した9月15日以降は韓国や日本の半導体メーカーもファーウェイ向けの出荷停止を余儀なくされた。
そんな厳しい状況のなか、ファーウェイがわずかな望みをかけているのが、アメリカ政府が自国メーカーに対して販売許可を出すことだ。ファーウェイによれば、スマホ用SoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹部品を1つの基板にまとめたもの)で世界最大手のクアルコムが、すでにアメリカ商務省に許可を申請したという。
「クアルコムは一貫してファーウェイの重要なパートナーだ。もしアメリカ政府の許可を取得できたら、われわれはクアルコム製のチップを搭載したスマホを喜んで生産する」(郭氏)
だが、申請が認められるかは不透明と言わざるをえない。アメリカ政府が2019年5月にファーウェイをエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に追加した後、複数のアメリカ企業がファーウェイへの販売を許可されたが、パソコンやサーバー向けなど技術的に成熟した分野が対象だった。クアルコムの5G(第5世代移動通信)向けSoCのような最先端の半導体には、アメリカ政府は一貫して許可を与えていない。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は9月23日
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