中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は3月31日、2019年の決算報告書を発表した。アメリカ政府が2019年5月に同社をエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に加えて以降、初めての年間業績の披露となる。それによれば、売上高は前年比19.1%増の8588億元(約13兆円)、純利益は5.6%増の627億元(約9500億円)と増収増益を達成した。
ファーウェイは非上場企業ながら四半期毎の業績を公表している。通年決算と同時に発表された2019年10~12月期の売上高は前年同期比7.73%増の2480億元(約3兆7500億円)と、2019年の四半期のなかでは最低の伸び率を記録した。同年1~3月期の売上高の伸び率は39%、4~6月期は12.83%、7~9月期は26.74%だった。
その結果、通年の売上高の伸び率も2018年の19.5%から0.4ポイント微減。純利益の伸び率は2018年の25.1%から大幅に低下した。
2020年の第一目標は「生き延びる」こと
ファーウェイ輪番会長の徐直軍氏はオンラインで開いた決算説明会で、アメリカの輸出規制の影響で海外市場での携帯端末事業の売り上げが少なくとも100億ドル(約1兆750億円)失われたと説明。調達できなくなったアメリカ製品を代替するため、研究開発投資を大きく増やしたとした。
「このような状況下で、我々は自らの生死を顧みずに2017年や2018年と同等の純利益率を追求することはできない。まずは空いた穴を埋め、サプライチェーンを再構築し、そのうえで生き延びることを第一の目標にしている」
徐氏はそう語り、2019年の業績に概ね満足しているとの見解を示した。
新型コロナウイルスの世界的大流行に関して、徐氏は「状況の変化が早すぎて予測できない」と断ったうえで、ファーウェイの経営への影響について次のようにコメントした。
「焦眉の急は従業員の安全を確保するとともに、顧客や政府の新型コロナ対策のニーズに応えることだ。通年でどれだけ目標を達成できるかについて、詳しく分析・予測する余裕はまだない」
徐氏は2020年がファーウェイにとってかつてないほど過酷な1年になると見ている。2019年は前半にはまだアメリカの制裁を受けておらず、新型コロナの流行もなかった。2020年はファーウェイのサプライチェーンの持続可能性が全面的に試されることになる。
「我々は懸命に努力して生き延び、来年も決算報告書を発表したい」。徐氏はそう決意を表明した。
(財新記者:張而弛)
※原文は3月31日配信
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