新型コロナウイルスの世界的大流行により、中国の人工呼吸器メーカーに海外から注文が殺到している。国務院聯防聯控機制(訳注:中国政府が新型コロナウイルス対策のために設置した行政機関横断型のプラットフォーム)は3月30日の記者会見で、国内メーカーが海外から約2万台の侵襲的人工呼吸器を受注したと明らかにした。
会見に出席した工業情報化省の許科敏・産業政策法規局長によれば、中国には現在、侵襲的人工呼吸器のメーカーが21社ある。そのうち8社の主要製品はEU(欧州連合)の安全基準を満たす「CEマーキング」を取得しており、1週間当たりの総生産能力は約2200台。これは全世界の生産能力のほぼ5分の1に相当する。
中国では新型コロナウイルスの感染が急拡大した年初から、人工呼吸器の引き合いが急増。主要メーカーは3月下旬までに2万7000台以上を国内の医療機関に供給し、うち3000台以上を侵襲的人工呼吸器が占めた。
世界市場では海外メーカーが主導権
これは、その時期の国内需要が例年の年間需要の2倍近くに急増したことを意味する。調査会社の華経産業研究院のレポートによれば、2018年の医療用人工呼吸器の国内需要は1万4700台だった。
「メーカーは一時は厳しい状況に直面したが、総合的には我が国の防疫上の需要、とりわけ湖北省と武漢市の需要に応えることができた」。許局長はそう説明した。
医療用人工呼吸器はフェイスマスクなどを通じて換気を行う非侵襲的と、気管挿管や気管切開を必要とする侵襲的の2つに大別される。中国の新型コロナ治療の経験では、重症患者のほとんどが非侵襲的人工呼吸器を必要とし、病状が悪化した場合には侵襲的人工呼吸器に切り替える。さらに、少数の重篤な患者には最終手段としてECMO(体外式膜型人工肺)が用いられる。
侵襲的人工呼吸器は製造に高度な技術と品質管理が必要で、価格も高い。非侵襲的人工呼吸器の価格は1台当たり数千ドルから数万ドルだが、侵襲的人工呼吸器は1台当たり20万ドル(約2167万円)を超える。世界市場では海外メーカーが主導権を握っており、中国メーカーの認知度やシェアはまだ低い。
(財新記者:何書静)
※原文は3月31日配信
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