中国電子商取引最大手の阿里巴巴集団(アリババ)の創業者で、昨年9月に董事会主席(会長に相当)を退いた馬雲(ジャック・マー)氏が、過去8カ月の間に持ち株の一部を売却していたことが明らかになった。アリババは7月9日、2020年度の年次報告書を開示。それによれば第2位株主である馬氏の直近の持ち株比率は4.8%と、2019年11月26日にアリババが香港証券取引所に重複上場した時点の6.1%から1.3ポイント減少した。
創業メンバーの1人で第3位株主の蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)副会長の持ち株比率も、同じく2.0%から1.6%に低下した。アメリカのニューヨーク証券取引所に上場しているADS(アメリカ預託証券)の過去8カ月の平均価格で試算すると、今回の売却を通じて馬氏は約61億1000万ドル(約6544億円)、蔡氏は16億6200万ドル(約1780億円)を手にしたことになる。
経営に対する馬氏の影響力に変化なし
馬氏は2014年9月のニューヨーク上場時にはアリババ株の8.9%を保有していたが、その後は持ち株比率を徐々に減らしてきた。2015年6月には7.6%、上述の香港重複上場時には6.1%に下がり、今回ついに5%を割り込んだ。
とはいえ、持ち株比率が低下しても、アリババの経営に対する馬氏の影響力に変化はないと見られている。同社には36人の中核幹部で構成される「アリババ・パートナーシップ」と呼ばれる組織があり、取締役の過半数を指名する権限を持つ。そして馬氏と蔡氏はパートナーシップの中で2人しかいない終身メンバーだからだ。なお、馬氏の持ち株売却についてアリババはコメントを控えた。
一方、筆頭株主である日本のソフトバンクグループの持ち株比率は、過去8カ月間に25.8%から24.9%に減少した。これは発行済株式の増加による希薄化が原因で、実質的な保有状況は変わっていない。しかしソフトバンクは5月18日、デリバティブ(金融派生商品)の活用により保有するアリババ株の一部を現金化して1兆2500億円を調達したと発表しており、今後の変化が注目される。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は7月14日
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