中国のインターネット大手で検索エンジン首位の百度(バイドゥ)は、5月19日、2020年1~3月期の決算報告書を発表した。それによれば、同四半期の売上高は225億元(約3400億円)と前年同期比7%減少。しかし財務会計上の数値(GAAP)からストックオプションや減価償却費などの項目を控除・調整したNon-GAAPベースの純利益は30億8000万元(約465億円)と、前年同期の9億7000万元(約146億円)の3倍強に増加した。
百度は「BAT」と呼ばれる中国IT業界3強(訳注:残り2社は阿里巴巴[アリババ]と騰訊[テンセント])の一角であり、1~3月期決算は新型コロナウイルスの影響がどの程度表れるかに注目が集まっていた。そんななか発表された業績は市場の事前予想を上回ったことから、アメリカのナスダックに上場する同社の株価は、アメリカ時間5月18日の取引終了後の時間外取引で一時8.2%高の116ドル40セント(約1万2500円)をつけた。
動画配信など新規事業が成長も、収益化はまだ先
とはいえ、今年1月13日につけた年初来最高値の147ドル38セント(約1万5830円)とのギャップはまだ大きい。冴えない株価の背景には、百度の最大の収益源であるネット広告の稼ぐ力が落ちていることがある。
新型コロナの打撃を受けた広告主が予算を絞ったため、1~3月期のネット広告の売上高は前年同期比19%減少。広告のマージンも縮小し、全事業の売上高総利益率は35%と前年同期の38.5%や2019年10~12月期の46.3%より低下した。その結果、本業の収益力を示す営業損益は4億3700万元(約66億円)の赤字となり、GAAPベースの純利益はわずか4100万元(約6億1900万円)だった。
一方、明るい兆しと言えるのは新規事業の成長だ。子会社で動画配信大手の「愛奇芸」(アイチーイー)やクラウドサービスなどが牽引し、ネット広告を除いた売上高は1~3月期は83億元(約1250億円)と前年同期比28%増加。総売上高に占める比率は37%と前年同期より10ポイント上昇した。だだし、これらの新規事業は利益より成長を優先している段階にあり、引き続きネット広告からの「輸血」を必要としている。
(財新記者:葉展旗)
※原文の配信は5月19日
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