新型コロナウイルス対策の長期化が、香港の雇用悪化に拍車をかけている。5月19日、香港政府の統計局は2020年2月から4月までの季節調整済み失業率を発表。その値は5.2%と、リーマンショック後の不況期だった2009年11月以来の高さを記録した。
同じ日に、香港政府は防疫対策のため9人以上の集会を禁止する措置を6月4日まで延長すると決定。サウナ、パーティールーム、ナイトクラブ、カラオケボックスなどの営業停止も5月28日まで延長された。香港では新規感染者数は少ないものの、感染ルートが不明のケースがまだ残っており、市中感染が水面下で広がるリスクを避けるためだ。
一般の飲食店は営業しているが、座席数を減らしたうえで1テーブル当たりの人数を4人以下にしなければならない。バー、美容院、スポーツジムなどは営業停止が続く。コロナ対策の延長によりこれらの業界の打撃は深まるばかりで、失業増加と求人不足の直接的な要因になっている。
飲食サービス業の失業率は2桁に悪化
産業別では小売業や観光業を含む「消費および旅行関連業界」の失業率が9.0%に達し、過去15年で最悪の値になった。なかでも飲食サービス業は12.0%と2桁の失業率を記録した。建設、教育、通信、娯楽などの各産業でも失業率が軒並み上昇している。
香港政府は4月8日に発表した総額1375億香港ドル(約1兆9100億円)規模の追加経済対策で、企業の雇用維持をサポートするため、従業員1人当たり月額9000香港ドル(約12万5000円)を上限に賃金の5割を6カ月間補助することを決めた。補助金の申請受付は5月25日に始まり、4週間以内に大部分が支払われる予定だ。これにより、厳しい雇用情勢が幾分緩和されることを香港政府は期待している。
だが、政府の補助金は企業や家計の資金繰りを一時的に支えることはできても、香港経済全体を回復させるには不十分との見方が多い。5月18日にオンラインで開かれた経済フォーラムで講演した香港中文大学経済学部の劉遵義教授は、「政府は公共住宅の建設や医療体制の拡充など、香港社会のニーズに的を絞った公共投資を急ぎ増やすべきだ」と提言した。
(財新 駐香港記者:文思敏)
※原文の配信は5月19日
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