新型コロナウイルスの流行が落ち着くとともに、中国では旅客輸送や観光関連の需要が戻りつつある。しかし“コロナ後”の初の大型連休となった「労働節」(訳注:メーデー。2020年の連休は5月1日から5日まで)の実績データによると、例年並みへの回復にはまだほど遠い状況だ。
中国交通運輸省の統計によれば、5月1日から5日までの期間に全国の鉄道、道路、航空、客船を利用した旅行者数は延べ1億2100万人と、2019年の労働節に比べて53%減少。特に鉄道と航空の減少幅は60%を超えた。
そんななか、比較的大きな回復を見せたのがマイカーによる旅行だ。全国の高速道路の交通量は連休期間中は1日平均4318万台と、前年比7.76%の減少にとどまった。ただしバスの交通量は同13.83%減少し、乗客数も5割を割り込んだ。多くの旅行客が新型コロナの感染リスクを警戒して公共交通機関を避け、マイカーを選んだことを反映している。
旅行者の節約志向で価格競争が激化へ
消費動向に目を移すと、今年の労働節は地元や近場の観光地への小旅行が主流だったため、旅行にかける支出が大幅にダウン。中国文化観光省の統計によれば、5月1日から5日までの中国国内の観光収入は475億6000万元(約7170億円)と、2019年の労働節に比べて60%も減少した。
航空券の価格も大きく下がった。旅行サイトの「去哪儿網」によれば、搭乗率の低迷で労働節の航空券の平均価格は昨年の68%に落ち込んだ。ホテルの稼働率は改善したが、宿泊料は戻っていない。同じく去哪儿網によれば、労働節のホテルの平均価格は昨年の75%だった。
「連休期間を通じて我が社の取り扱いは激減したが、利用客のクレームは逆に倍増した。消費者は旅行代の節約志向を強める一方、サービスの要求水準は下げていない」。重慶市のある旅行代理店の責任者はそう語り、今後は旅行業界の価格競争が激しさを増すと予想した。
(財新記者:銭童)
※原文の配信は5月7日
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