中国の家電大手の格力電器(グリー)が、市場シェア首位のエアコン事業で成長の壁に突き当たっている。同社が4月30日に開示した2019年の決算報告書によれば、エアコン事業(訳注:業務用空調を含む)の売上高は1386億6500万元(約2兆1000億円)と前年比11%減少、総売上高に占める比率が初めて70%を割ったことが明らかになった。
エアコン事業の不振を受け、全事業の総売上高は1981億5300万元(約3兆20億円)と前年比0.02%の微増にとどまった。純利益は246億9700億元(約3740億円)と前年比5.75%減少した。
過去数年、格力はエアコン事業の成長が牽引して売り上げを大きく伸ばしてきた。2016年に1083億300万元(約1兆6400億円)だった総売上高は、2018年は1981億2300万元(約3兆16億円)と2年で1.8倍に増加。総売上高に占めるエアコン事業の比率は2016年が81.33%、2018年が78.58%だった。
オンライン販売では美的集団がシェア逆転
その勢いが2019年に止まった背景には、中国エアコン市場の成熟と販路の構造変化がある。市場調査会社「奧維雲網」のリポートによれば、同年の家庭用エアコンの市場規模は1979億元(約3兆円)と前年より1.6%縮小。そんななか、EC(電子商取引)サイトなどを通じたオンライン販売が前年比17.6%増の720億元(約1兆1000億円)と好調だったのに対し、家電量販店や電気工事店を通じたオフライン販売は同10%減の1259億元(約1兆9000億円)と明暗が分かれた。
格力はもともとオフライン販売に圧倒的な強みを持ち、オンライン販売は相対的に弱い。奧維雲網のデータによれば、オフラインでは業界首位の格力のシェアが36.8%と、同2位の美的集団に8ポイントの差をつける。ところがオンラインでは順位が逆転し、美的のシェアが30.5%と格力に8.2ポイントの水をあける。
「昨年はエアコン市場全体が停滞するなか、美的が先んじて価格競争を仕掛けたことも格力の不振の一因だった。オンラインの重要性が高まり、競合他社が販路戦略を見直すなか、格力はECにもっと多くの経営資源を投入すべきだ」。エアコン業界に詳しい専門家はそう指摘する。
(財新記者:彭岩鋒)
※原文の配信は4月30日
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