中国に進出しているアメリカ企業の過半数は、現時点ではサプライチェーンや調達拠点を中国から移す考えはないとの調査結果が発表された。
この調査は在中国アメリカ商工会議所、在上海アメリカ商工会議所、PwC中国が共同で実施した。新型コロナウイルスの世界的大流行は、グローバルなサプライチェーンに大きな混乱をもたらしている。だが、アンケート調査に応じたアメリカ企業の70%以上が「サプライチェーンや調達拠点を他の地域へ移す予定はない」と回答した。
「(報道などに見られる)一部の議論とは異なり、われわれ商工会議所のデータは中国での現地調査に基づくものだ。その結果は会員企業の大部分が中国市場から撤退しないことを示している」。在中国アメリカ商工会議所のアラン・ビーブ会頭は、4月17日の記者会見でそう語った。
長期的には米中のデカップリング進行か
新型コロナの流行をきっかけに、欧米や日本ではサプライチェーンの中国依存を見直すべきだという意見が増えている。アメリカ国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長は4月9日、アメリカ企業が中国の生産拠点を本国に戻す場合、移転費用の100%をアメリカ政府が補助すべきだと発言した。
それに関して上海アメリカ商工会議所のカー・ギブス会頭は、生産拠点の本国回帰は「荷物をまとめて帰るといった単純な話ではない」とコメントした。仮に移転費用に補助金が出ても、それは生産オペレーションに必要なコストの一部にすぎない。最適な生産地を選ぶには、市場との距離、インフラの水準、労働力の質、産業集積の度合いなど、さまざまな要素をビジネス・ベースで熟慮する必要があるからだ。
とはいえ長期的には、サプライチェーンの変容は避けられないかもしれない。在中国アメリカ商工会議所が2019年10月に実施した調査では、対象企業の66%が「米中経済のデカップリング(分断)は不可能」と回答した。しかし今回の調査では、同じ回答の比率が44%に低下。「デカップリングは加速する」との回答が20%に増え、「デカップリングは後退する」はゼロだった。
(財新記者:王力為、張而弛)
※原文は4月20日配信
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