武漢市の「封鎖解除」から一週間も経たず、同市に本拠を置く半導体メーカーが最先端の新製品を披露した。紫光集団(訳注:清華大学を母体とする国策半導体ハイテク企業)の傘下でNAND型フラッシュメモリーの開発製造を手がけるの長江存儲科技(YMTC)は、4月13日、記憶素子を128層積み重ねた3次元NAND型フラッシュメモリー(3D NAND)の開発に成功したと発表した。
中国メーカーによる128層3D NANDの製品化はこれが初めて。今回発表したのは1.33テラビットのQLC(4ビット/セル)製品と512ギガビットのTLC(3ビット/セル)製品の2種類で、2020年末~2021年上半期の量産開始を目指す。グローバル半導体市場におけるこの分野の国産製品の空白を埋めることが期待されている。
【2020年4月17日12時25分追記】初出時、QLC製品とTLC製品の性能値に誤りがありましたので上記のように修正しました。
「当初はコンシューマー向けの大容量USBメモリー、メモリーカード、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)などに採用してもらい、続いて企業向けサーバーやデータセンター向けにも参入したい」。YMTCの販売マーケティング担当の高級副総裁を務める龔翊(きょうよく)氏はそう抱負を語った。
わずか3年で海外勢にキャッチアップ
128層クラスの3D NANDは、世界の大手半導体メーカーが製品化を競う激戦区だ。2019年6月、韓国のSKハイニックスが128層の量産で先陣を切り、同年8月にサムスン電子が136層で続いた。アメリカのマイクロン・テクノロジーは2020年4~6月期から128層の量産を始めるほか、日本のキオクシア(旧東芝メモリ)もアメリカのウエスタンデジタルと共同開発した112層の量産を2020年下半期に開始する計画だ。
先行する海外勢と比べると、YMTCの研究開発はまだ3カ月から1年程度の差をつけられている。しかしフラッシュメモリー業界の新参者にもかかわらず、「わずか3年間で32層から64層、さらに128層への飛躍を実現した」と龔氏は胸を張る。急速なキャッチアップの秘訣はYMTC自身の努力と、グローバルな(製造装置や原材料などの)サプライチェーンの相乗効果だという。
2016年7月の設立からまだ4年も経たないYMTCの台頭は、フラッシュメモリー業界の国際競争を一段と加熱させそうだ。
(財新記者:張而弛)
※原文は4月13日配信
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