アメリカのEV(電気自動車)大手のテスラが、中国籍の元社員が技術を盗んだとしてカリフォルニア州の裁判所に提訴している問題で、この元社員が転職した中国の新興EVメーカー「小鵬汽車」に対して自動運転システムのソースコード(プログラムの設計図)の開示を求めていることが明らかになった。
小鵬汽車は4月25日に声明を発表。それによれば、同社は訴訟の当事者ではないにもかかわらずテスラの調査に協力してきた。ところがテスラ側がエスカレートし、ソースコードの開示を含む「理不尽」な要求を突きつけてきたため、3月31日にアメリカの裁判所に異議を申し立てた。
技術窃盗の疑いがかけられているのは、2019年1月にテスラを辞めて小鵬汽車に移籍した曹光植氏だ。2017年からテスラのニューラルネットワークの開発チームでコンピューター視覚科学の研究者として働いていた。小鵬汽車は自社の自動運転システムに不可欠な画像センシング技術の開発チームの責任者として、曹氏に白羽の矢を立てた。
「リモートワークのため」と元社員は全面否定
テスラは2019年3月に曹氏を提訴。同社の主張によれば、曹氏は在職中にテスラのEVのファームウェア、自動運転システム、ニューラル・ネットワークに関するソースコードを複製し、個人のクラウド・ストレージにアップロードした。さらに、小鵬汽車に転職した後もさまざまな手段でテスラのソースコード・ファイルにアクセスしていたという。
これに対して曹氏は、テスラのソースコードを個人のストレージにバックアップした事実は認めたが、リモートワークの利便性のために多くのテスラ社員が行っていた習慣だったと主張。テスラの企業秘密を小鵬汽車に引き渡したことはないと疑惑を全面否定している。
小鵬汽車が申し立てた異議の審理は、アメリカ西部時間の5月7日に行われる予定だ。カリフォルニアの裁判所が同社の異議を認めるか、それとも却下するかが注目される。なお4月25日の時点で、財新編集部はテスラから本件に関するコメントを得られなかった。
(財新記者:劉雨錕)
※原文は4月25日配信
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