アメリカ政府の制裁と新型コロナウイルスの世界的大流行が、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)にとって「二重苦」の様相を呈している。
同社は4月21日、2020年1~3月期の業績を公表した。それによれば、売上高は1822億元(約2兆7750億円)と前年同期比1.4%の増加にとどまり、2019年4月に四半期決算の公表を始めて以来最も低い成長率だった。売上高純利益率は7.3%と、前年同期より0.7ポイント低下した。
1年前の2019年1~3月期には、ファーウェイの売上高は前年同期比39%も伸びていた。しかし同年5月、アメリカのトランプ政権がファーウェイをエンティティー・リスト(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)に加えると、海外事業の躍進に急ブレーキがかかった。
その結果、2019年4~6月期の売上高の成長率は前年同期比12.83%に低下。10~12月期は同7.73%とさらに減速していた。そこに新型コロナの流行が追い打ちをかけ、2020年1~3月期はゼロ成長の一歩手前まで追い込まれた格好だ。
中国市場は5Gに期待も海外には悲観的
ファーウェイの売上高は、スマートフォンに代表されるコンシューマー向け事業が半分以上を占める。1~3月はそこが新型コロナの直撃を受けた。中国情報通信研究院(訳注:工業情報化省の傘下の政策シンクタンク)の調査データによれば、中国国内の携帯電話出荷台数は1月に前年比38.9%、2月に同56%、3月に23.3%それぞれ減少した。
市場全体に逆風が吹き荒れるなか、ファーウェイがプラス成長を維持するのは容易なことではない。コンシューマー事業のトップを務める余承東氏は4月9日、財新記者の取材に応じ、同社のスマートフォンの販売台数が2月は前年同月比マイナスに陥ったものの、3月は同約80%増加したと語った。1~3月のトータルでは、国内のコンシューマー事業はわずかながらプラス成長を維持したという。
余氏の見方によれば、国内市場では5G(第5世代移動通信)端末への買い替えブームが起き、ファーウェイの2020年の出荷台数は前年比で増加する可能性がある。しかし海外市場に関しては、「新型コロナの影響は中国国内よりも長く続くだろう」と悲観的な見解を示した。
(財新記者:張而弛)
※原文は4月21日配信
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