中国で観光需要が回復しても安心できない事情 地元や近場を中心に大型連休中の予約は好調

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地元や近場への小旅行が人気を集めている。写真はシートリップの「労働節」のプロモーション・サイト

中国の旅行業界にようやく明るさが戻ってきた。旅行サイト各社が発表した「労働節」(メーデー)の大型連休(訳注:2020年は5月1日から5日まで)の予約状況によれば、地元や近場の観光地を中心に需要が大きく回復し、一部の人気スポットでは売り切れも続出している。

一方、新型コロナウイルスの再流行を防ぐための措置により、省をまたいだ遠隔地への団体ツアーや海外旅行は引き続き制約を受けている。それらの回復は新型コロナの流行の完全な終息が条件になりそうだ。

労働節を目前にして、中国各地のホテルや観光地は続々と営業を再開している。生活関連アプリを手がける「美団点評」の旅行部門のデータによれば全国の宿泊業の営業再開率は76.4%と、4月初旬の「清明節」の連休より5%上昇した。旅行サイト大手の「携程旅行網」(シートリップ)によれば、労働節の連休期間の延べ旅行者数は4月に比べて3倍近くに増加する見込みだという。

「安全、清潔、対面サービスなし」が人気

新型コロナの発生以来、旅行業界は3カ月余りにわたって未曾有の苦況に耐えてきた。労働節の予約好調は間違いなく明るい話題だ。とはいえ、業界の完全復活への道のりは平坦ではない。

「うちの会社はゲストの95%以上が外地からのツアー客だった。近場の小旅行が回復しても恩恵はほとんどない」。重慶市のある旅行代理店の担当者は、財新記者にそう語った。

いま業界関係者の多くが気を揉んでいるのが、全国の学校のスケジュールがどうなるかだ。新型コロナの流行で休校が長期間続いたため、夏休みが取り消されたり短縮されたりする可能性がある。仮にそうなれば、旅行業界は10月の「国慶節」の大型連休まで再び忍耐を迫られるだろう。

本記事は「財新」の提供記事です

旅行客の意識も変化している。新型コロナの感染予防を意識した安全性や衛生面のチェックが、目的地や宿泊先を選ぶ際の新たなキーポイントになっている。旅行サイトの「去哪儿網」によれば、今年の労働節は2泊3日や1泊2日など短期旅行のパック商品が人気を集め、「安全」「清潔」「対面サービスなし」などのキーワードによる検索が以前の5倍に増えたという。

(財新記者:銭童)
※原文は4月24日配信

財新 Biz&Tech

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