火力発電などに使われる動力用石炭(一般炭)の相場が低迷するなか、石炭生産大手が共同で価格の下支えに動き出したことが財新の取材で明らかになった。
複数の業界関係者の証言によれば、生産量トップの神華集団のほか大同煤鉱集団、中煤能源集団、伊泰集団の大手4社が、発熱量5500キロカロリーの一般炭の現物受け渡し価格を1トン当たり485元(約7387円)に固定することで合意したもようだ。神華集団はすでに取引先に通知しており、期間は4月19日から月末までを予定している。
自主規制の背景は最近の石炭相場の急落だ。中国電力企業聯合会が4月21日に発表した石炭購買価格のデータによれば、5500キロカロリーの一般炭の指標価格は1トン当たり479元(約7295円)と、3月初旬より16%も下落した。一般炭の先物価格も下げ相場が1カ月以上続いている。
炭鉱の損益分岐点を割り込む可能性も
相場下落の主因は、新型コロナウイルスの中国での流行が落ち着いた後に生じた需給の不均衡にある。炭鉱の生産再開のスピードが需要回復の勢いを上回り、市場が供給過剰に傾いてしまった。
「大手4社の価格協定の効果について論評するのはまだ早い。4社合計の市場シェアは中国沿海部では70%に達するが、全国では20%前後にすぎないからだ。仮に相場が損益分岐点とされる1トン当たり450元(約6854円)を割り込めば、多くの炭鉱が減産に追い込まれるだろう」
石炭業界専門の情報サービス会社、汾渭能源のアナリストの曽浩氏は、財新記者にそうコメントした。
政府は今のところ石炭需給を調整する政策を打ち出しておらず、大手企業が自発的に相互扶助を始めた段階だ。しかし自主規制に強い拘束力は期待できない。実際に相場安定に寄与するのか、今後の動きを見極める必要がある。
(財新記者:曾凌軻、白宇潔)
※原文は4月22日配信
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