中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)は4月23日、同社にとって初のドル建て公募債券6億ドル(約646億円)を海外市場で発行した。償還期間は10年、額面年利は3.375%、用途は経営全般および既存の借入金の返済に充てる。同社によれば、この債券への申し込みは予定の8.5倍の総額51億ドル(約5488億円)に達したという。
その3週間前の4月2日、シャオミは中国国内でも10億元(約152億円)の債券を発行した。償還期間は1年、額面年利は2.78%、用途は運転資金の補充と国内金融機関からの借入金返済のほか、調達額の20%を新型コロナウイルスの防疫対策の援助に投じるとしている。
これら2つの債券は、アメリカの格付け大手S&Pグローバル・レーティングから「BBB-」の格付けを得た(訳注:S&Pの格付けは最高位のAAAから最低位のCCまであり、BBBは「投資適格」の最低ランク)。このレーティングに関してS&Pは、グローバル市場でのスマートフォンの販売好調、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連事業の成長、財務レバレッジの低さなどを反映したと、4月20日付のレポートで説明した。
手元資金を厚くし、スマホ市場の縮小に備え
シャオミの決算報告書によれば、2019年末時点の総資産は1836億2900万元(約2兆7910億円)、総負債は1019億7100万元(約1兆5500億円)であり、総資産負債比率は55.5%と確かに低い。さらに現金および現金同等物が259億2000万元(約3940億円)あり、手元資金も厚い。
にもかかわらず、なぜ立て続けに債券を発行して資金調達を急いだのか。シャオミのスマートフォンは2019年は海外市場での躍進が目立ったが、実は中国市場では販売台数を大きく落とした。調査会社のカナリスのデータによれば、2019年10~12月期の出荷台数は海外市場が前年同期比43%増加したのに対し、中国市場は同14%減少した。
そこに新型コロナウイルスの世界的大流行が発生した。2020年のスマートフォン市場は、最も楽観的なシナリオでもグローバル市場の出荷台数が前年比4.3%、中国市場では同11.9%それぞれ減少するとカナリスは予想する。シャオミの資金調達は市場の縮小に備え、生き残るための兵糧なのである。
(財新記者:何書静)
※原文は4月23日配信
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